ふしぎな岬の物語のレビュー・感想・評価
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吉永小百合の不思議な世界
さすが吉永小百合主演映画だけあって、現実感は皆無、ってまあ吉永小百合と言う女優さんそのものが現実感のないある意味モンスター的(良い意味でですよ)存在ですから、それは当然作品に現実感が生まれる訳もないのですが。
一応ジャンルとしては人情系ヒューマンドラマになるのかな?
でも、まあほとんどファンタジーの世界でしたよね、吉永小百合の不思議ワールドとでも言いましょうか。
正直ありえなさ過ぎてドン引きしたシーンは多々ありました。
今時こんな映画を作ってしまうのはどうなんだろうかとも思いましたし。
しかしそれでも何だかんだで心温まり、癒されてしまうのが吉永小百合ワールドなんですよね。
皆カフェの女店主を好きになってしまうのも納得の存在感、たとえ泥棒でもね・・・(さすがにあれは)
ただ泣かせどころは割りと安易な演出なんで、その辺で好みは相当分かれそうな。
まあ私は竹内結子の絶品演技やベタな吉永小百合ワールドにそこそこ嵌まってしまった側ですけど、こんなの見てられないと言う人がいてもそれはそれで納得かも。
私はサユリストではないですが、結局良くも悪くもサユリスト向け映画、でも需要があるならそれはそれでOKなんじゃないでしょうかね。
ちょっと作品にブツ切り感があったのは気になりましたけど。
あと阿部寛と吉永小百合の関係性に終始?な部分も感じましたかね・・・。
まあ成島監督作と考えれば微妙も、吉永小百合映画としてはOKってところでしょうか。
今回は今までとは違い、ちょっと物哀しいと言うか、年相応に心の闇を抱えた女性を演じた新味みたいなものは感じれましたので、あくまで吉永小百合が企画・製作に携わった映画として見るのが吉でしょう。
吉永小百合初プロデュース・・・
面白くな~れ、面白くな~れ
海が望める岬にある喫茶店。女主人と、そこに集う常連客の悲喜こもごも。
人々の善意や人情に溢れたハートフルな感動作。
本来こういう“良心作”は好きなんだけど…、何だかな。
どのエピソードも平凡。終始地に足が着いてないふわふわ感。ファンタジーの世界。
登場人物も魅力薄。それでいて強引だし、身勝手。
泥棒のエピソードはサザエさんかよ! 竹内結子の別れた夫は幾ら何でも気の毒。
主演・吉永小百合のプロデュースというのがミソ。
劇中、いい歳したおばさんが皆からちやほやされ(血縁関係者から好意も持たれ)、それはまるで共演者から接待される大女優そのもの。
酷な言い方すれば、吉永小百合の自己満映画。
ロケーションは悪くないし、こういう土地にも憧れたりする。
阿部寛、竹内結子、笑福亭鶴瓶他豪華キャストも好きな人ばかり。
それだけに…。
とてもじゃないけど「大丈夫、大丈夫」なんて言ってられない。
「美味しくな~れ、美味しくな~れ」より、「面白くな~れ、面白くな~れ」って魔法の言葉かけないと。
日本アカデミー賞全13部門ノミネートは分かる気がする。
だって、そういう映画だし、そういう映画賞だから。
さゆりマジックなんでしょうね、これは
タイトル通り、実に不思議な作品でした。これはプロデュースも務めた「吉永小百合マジック」なのかな。
特にドラマチックなストーリーでもない。
原作は未読ですが、元々は、短編をいくつかまとめて連作としたお話らしいですね。それを元に一本の映画としてまとめているのですね。僕はそれを知らずに観ました。
道理で、なんか、悪く言えば脚本の背骨がそもそも存在しないようなお話なんですね。
岬の端っこに人知れず佇む、ちっぽけな喫茶店。
そこに集まる、ご近所の人々。その日常を、カフェの店主である吉永さん演じる主人公を中心として、淡々と描いてゆきます。
本作の監督は成島出氏。そのタッチは、本作で登場する虹の絵のように、ほんわかした、水彩画のよう。
こういう作品の場合、自分の興味のある部分だけに着目して楽しむと言う手もありです。
僕の場合は、主人公の甥の暮らしぶりに注目してしまいました。
演じるのは阿部寛さん。
ワイルドです。
なんと、お風呂はドラム缶、下は焚き火。
いわゆる五右衛門風呂。
それも青天井、屋外です。
ほとんど、原始的とも言える暮らしぶり。
庭で焚き火を燃やして、ぼーっとしてみたりする。こういう人の住む家はもちろん、牛小屋か、馬小屋を思わせる建物なんですね。その作り込みの面白い事。
また、主人公の喫茶店の横には、実に小さな、真っ白な家が建っています。よくみると、なんと掟破りの屋根。塗りで仕上げてある。雨漏りしないんだろうか? とにかくかわいらしく、いじらしく、真っ白な姿で、けなげに建っている白い家。
まあ、本作では、正直、僕はそんなところばかり観ていました。でも不思議。
エンドロールが流れる中、なぜかふと涙がこぼれました。
そういう映画なんですね。
主演の吉永さんが、コーヒーを入れる時のおまじない。
「美味しくなぁ~れ、おいしくなぁ~れ……」
人生、これもやんなきゃ、あれもやんなきゃ、もっと、もっと、頑張らなくちゃ、と緊張を強いられる事ばかりですよね。でもこの言葉を聞くと、
「ゆっくりになぁ~れ、ゆっくりになぁ~れ」と僕には聞こえたのでした。
後からジワッとくる。
うーん・・・
吉永小百合的映画
ふしぎな店とおまじない。
吉永小百合が主演する作品はだいたい想像がつくので、
今回は誰がこのヒロインのお相手役なのかしら?と思えば、
おぉ!阿部ちゃんか。さすが時の人を持ってくるなーと感心。
今や常連?となった鶴瓶も、今回はお相手役になるのか。
さすが国民的大女優。サユリストといえば、タモリを筆頭に
昭和の男性陣に多いだろうが、本当にいつまでも美しく若い。
この人と高倉健は、もう映画に出てくれるだけでオッケイ!と
いう存在なのだろう。役と実際の素が入り混じる部分も多い。
私的に近年の作品はどれも退屈なものが多く(ゴメンなさい)、
あーまた小百合さま映画か。と思うんだけど、彼女にしても
若い頃のようには役柄に幅を出せない女優の苦労があり、
選択肢というのも年々少なくなってきているんだろう。
だから今回の、企画から参加という乗り出し方も理解できる。
まだまだやれる。という頑張り方が性に合っている気もする。
若手もベテランも彼女を囲んでいい雰囲気で撮ったのが、
作品自体から伝わる。もちろん悪は存在しないし、起伏にも
欠ける。常に予定調和の大団円になってしまうのは仕方ない。
訪ねてくるお客にいつも優しい店主の悦子。世話が焼ける甥の
浩司に面倒をかけられるも、追い払うことなく見守り合っている。
恋心を抱くというから、赤の他人だと思っていた浩司が実は甥
だったという、え、こりゃまずいことにはならないか?と心配に
及ばぬ事情が、ずっと後半の悦子の独白シーンで語られるが…
彼女が彼女らしい攻めの演技を魅せるのはこの一回きり。
吉永小百合という女優が、しっかりと往年の演技力を発揮し、
観客にアピールする場面があって本当に良かったとは思うが、
何だか物語の設定上(ややファンタジー)不気味感が漂う場面。
劇場は超満席。高齢者がやはり目立っていたが、彼女が念願の
世界映画祭で審査員特別賞グランプリという栄誉を受けた作品。
その心意気を受け容れて観てもいいと思う。
(劇中歌を歌うブラザーズ5が実に豪華。私はそこだけ大感動)
大丈夫。大丈夫。
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