劇場公開日 2015年5月1日

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「千葉繁の存在感」THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0千葉繁の存在感

2021年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

さて押井守といえば色々な作品がありますが、「ビューティフルドリーマー」と「パト1」、あと「赤い眼鏡」でしょうか。
個人的にはこの三作は他とは一線を画す感じです。

そんな今作、監督の代表作「機動警察パトレイバー 2 the Movie」の続編と監督自身が公言するなど、かなりハードルをあげている印象でした。
なんでしょう、正直ムラっ気の多い監督なのでちょっと観るのが怖い感じでしたね。
ですがこの作品、いざ箱を開いてみると押井守ワールドが実に色濃く出ている作品になっていました。
古いファンをニヤリとさせる様々な仕込み、脇をささえる川井憲次の音楽、味のあるキャスト、実にわくわくとさせてくれます。
特にキャストがうまく育っていった印象で、シリーズの最初では筧利夫があんなにフィットしてくるとは思っていませんでした。
他にも太田莉菜や福士誠治も良い感じに収まってきたし、なんといっても千葉繁の存在感でしょう。
なんというか、彼がいると実に締まります。本当パトレイバーにはかかせませんね。

ただ「日本ならではのスーパーリアル・ロボットアクションが誕生した!」といったコピーや「トランスフォーマー」「パシフィック・リム」などのワードはいらなかったかな…と。
これはあくまで押井守の作品なので、こういったハリウッドアクションを匂わせるような事は見当違いであり野暮でした。
また、そういった作品を期待して観ると思いっきり肩透かしになると思うんですよね。 まぁ色々な事情があるのだとも思いますが。
ほかにも演出面でややアニメっぽすぎる部分や、VFXの限界(主に資金面でしょう)が見えたりなどもありましたが、全体的にみたらさほど気になるほどではなかったです。
何だかんだで中だるみすることもなく、テンポの良い進行でした。

そんな本作、新規の人古くからのファンの人、それぞれに色んな見方があると思いますが、個人的には想像以上に押井守を堪能できる作品でした。
一言でいうと面白かったです。

白波