「僕達が好きだったジブリ映画の後継者」思い出のマーニー 加藤プリンさんの映画レビュー(感想・評価)
僕達が好きだったジブリ映画の後継者
いやあ、米林監督ってホント、ジブリ映画のことが好きなんだね!
「アリエッティ」の時も書いたのだけれど、
こりゃもう半分は同人誌みたいなもので、
宮崎駿自身がもう卒業しちゃって描けない
「僕たちの大好きだったジブリ映画」というものを
継承してゆけば、それはひとつの、今後のジブリ映画となり得るのではないか?
今までのジブリ映画の要素がいっぱい。メイが出て来たのはもう笑うしかないんだけど、
ホントこれまでの総決算というか、要素と反省がよく出ている。
この監督、絵と音にはものすごく気を遣うのに、
登場人物の皮膚というか、触感には鈍いのかな?
アンナが半ズボンで草むらに入って行って、素足が痒くないのかな? とか
衣服が濡れて、そのベタつきの嫌な感じとか、そういうのは、なんか薄い。
途中で、ああ、アンナはそういう感覚が薄い娘なんだと気づいたんだけど
(厳密に言うと、道を外れることに慣れている娘)
最後になって木の根につまづいたり、風を感じたりと、アンナもマトモな感覚を取り戻してゆく。
マーニーとのルーツを確保するために、養母を母と認めたということは理解できるんだけど
まぁ、こういう解釈もアリかな、、とは思う範囲内。
養育費のこととか、そんなに必要なことだとは思わないんだけど、
今時の子供にオモネル趣は、ポニョの頃から宮崎駿にも見られた傾向で。
それってやっぱり、裾野を広げるという行為ということで、必要なのかねぇ。
僕らがもっと観たいのは、荒唐無稽なマンガ映画のはずなんだけど、
この監督の趣味ではないんだろう。どちらかというと、少女向きの、繊細な作風だから
もちろん作家性ということで、いいんだと思う。
これまでのジブリになかった(若しくは失敗して来た)、作家性というものを
ちゃんと気付ければ、吾郎ちゃんと、米林さんと、あともう1人くらい
ジブリの後継者がいてもいいと思うんだけどね。
なけりゃ潰せばいいか、という関係者の発想が其の域を出ない内は、どうしようもないのかもしれない。
ジブリ解散説も、そりゃ出るよね。しかも内から、ね。
いいんじゃないの、種を撒き散らすことができたなら、天才は弟子を取れないでしょ。
辻仁成の中性説は時代の最先端なのかね、この映画が認められると言うことは、そういうことだと思う。