「もっとアニメらしく。」思い出のマーニー mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
もっとアニメらしく。
スタジオジブリの新作である。自然とハードルは高くなる。
宮崎駿、高畑勲以外の作品で、そろそろエポックメイキングを出さないと、ジブリの将来が危ぶまれる。
さて、本作であるが、ファンタジーということになかなか気づけない構造をもっている。これはやや不利なのではないか。
杏奈が最初に湿っ地屋敷にたどり着いたとき、誰も住んでいないように見えたが、次のときにマーニーと出会う。
パーティーがあったあと、またみすぼらしい屋敷を杏奈は目にする。
つまりはマーニーは実体のない人物なのである。
ところが、杏奈はマーニーとハグするしダンスまで踊ってしまう。もちろんそれは杏奈にしか見えないことになっているので、それでいいのかもしれない。また、杏奈以外の第三者もいない。
だからといって、抱き合うシーンを見せてしまうのはちょっとルール違反ではないかと思ってしまう。
いまさらながら「シックス・センス」(M.ナイト・シャマラン監督)がいかに巧みであったかに思いをはせる。
杏奈の目の色が少し違う、というのがチラッと出てくる。青いというのだ。
だが、あのシーンは夜で、うつむいている杏奈を下からのぞき込むようにして見た結果としてなので、それが本当なのかどうかわからないようにしてある。
が、それもきちっとした形で提示すべきなのではないか。例えば、その目の色のせいでふさぎ込んでいるとか、複数の人に違う場面で指摘されるとか。
これは実写でやるべき題材ではないか。
結論としてそう感じた。
米林宏昌監督の前作「借りぐらしのアリエッティ」がアニメらしい作品だったので、期待しすぎていた。
しかし、ジブリブランドを維持するためにも頑張ってもらわなければならない人材だと思う。次回作に期待する。