「近藤喜文の雫がそこにいた」思い出のマーニー カメさんの映画レビュー(感想・評価)
近藤喜文の雫がそこにいた
夢の中の抽象さと、少女の心の傷をしっかりと具体的に描き、それらを両立させたまま物語は進む。その心のコントラストが素晴らしいと感じる。
宮崎作品のハツラツとした女の子ではなく、影があり、また奥ゆかしさがある。近藤喜文がかつて描いた雫がそこにいた。
物語が進むのではなく、1人の少女の心の変化を追っていく。宮崎・高畑の息がかかっていない本作。今までのジブリとは違うかもしれない。ただ、1人の少女の心の内面をしっかりと描けた素晴らしい作品だと感じる。
何よりも見終わった後に、杏奈の事をとても大事に思い、親身になっている自分自身に気付かされる。これは宮崎作品のキャラクターには感じなかった心情だった。
米林監督は魔法やファンタジーよりも、人間の心を描く作風の方が合っているとさえ感じた。
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