「誤解を招く作風であり、悪い方向に期待を裏切られる」思い出のマーニー 六角多面体さんの映画レビュー(感想・評価)
誤解を招く作風であり、悪い方向に期待を裏切られる
お話は主人公の『自分大嫌い』発言から始まり
説明不足なまま田舎に預けられる事に。
しかし性格破綻者な主人公は心優しい人とも馴染めず
自爆気味に追い詰められていく
そんな中
見えたり消えたりする謎の少女
『マーニー』と友達になる
はたして、その正体は夢なのか、空想なのか
と言った物語
その正体は不明なまま終わるが
マーニーとは主人公の祖母だった、というもの。
実際幽霊であったのか、主人公の記憶から呼び起こされた妄想であったのかは謎なままエンディングを迎える。
問題点としては
①主人公の性格がひねくれ過ぎている
②主人公の母が義母であるという事以外何も分からない中
主人公の『私は不幸、自分が嫌い』
な独白から始まる為、全体が重苦しく
主人公に感情移入しづらい
③序盤から全編通して説明不足であり
視聴者から見て
『目の前の出来事が、夢なのか現実なのか分からない』という作風と相まって
1場面ごとの展開を推理しながら視聴する必要がある
④しかし、推理しながら映画を見ると
結論のありきたりさに物寂しさを覚える
結論としては
物語を紐解くのに特殊な素養が必要な作品
しかし
苦労して開けた箱の中身は『ありふれた』お話だった、という印象
これは演出、構成上の問題であったと思われ
『マーニーは四肢の末端が透けている』
だとか
『マーニーには触れる事ができない』
だとか
『マーニーは他の人には見えない』
といった演出があれば素直に楽しめたと思われる。
実際には
『触れられるし』
『他の人も見てるし』で
『実態として存在している』様に見えてくる
その為
・別の世界と繋がっているのか、とか
・主人公の空想が実体化したのか、とか
SFな展開を予想すると
『何故か見えてただけの死んだお婆ちゃん』でガッカリしてしまう。
監督が別の人であれば楽しめたと思う作品