「米林監督やるやん!」思い出のマーニー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
米林監督やるやん!
他人に心を閉ざす少女、杏奈が療養のために訪れた田舎町で出会った不思議な少女マーニー。
マーニーとの出会いにより、杏奈の心に変化が訪れる様子を描いたファンタジー・アニメ。
不思議な少女マーニーを演じたのは『阪急電車』『SPEC』シリーズの有村架純。
あることがきっかけで杏奈と仲良くなる少女、紗香の声を『桜蘭高校ホスト部』シリーズやドラマ『夜行観覧車』の杉咲花が演じている。
杏奈の主治医である山下医師の声を『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』でジブリの声優を務めた大泉洋。
無口な老人の十一の声優を、『猫の恩返し』でジブリの声優を務めた安田顕が担当している。
米林監督作品は以前『アリエッティ』と『メアリ』を観ており、どちらもイマイチハマらなかったので、本作は非常にハードルを下げて鑑賞しました。
…米林監督舐めててごめんなさい。めちゃくちゃ良い映画でした!
この映画は評価が割れて当然の作品だと思います。
アニメーション映画にダイナミックなストーリーや派手なアクションを求める人や、頭を空っぽにして観ることができる作品を好む人には全く刺さらない映画になるでしょう。
また、主人公の抱える心の問題に共感を得ることが出来ない人もなにが面白いのかわからない作品であると思います。
逆に、作品の構造を読解することを好む人や、アニメに美しい美術、機微な心理描写を求める人、主人公のアンナに感情移入してしまう人には突き刺さる作品であると断言出来ます。
いずれにせよ、ジブリ作品だからといって全く子供向けの作品ではありません。
本来なら40億円近い興行収入を叩き出せるような大衆向きの映画ではないです。
ジブリであること、興行収入的にヒットしたことがこの映画の評価を下げてしまっているという気がします。
映画の内容に言いたいことがないわけではないです。無口な爺さん十一や太っちょデブはもっと丁寧に扱うべきキャラクターだと思うし、大事なことをセリフで説明し過ぎている。
マーニーを原作小説のイメージの通りに金髪外国人と設定したことで(作品の舞台は現代日本に変更している)、良い部分もあるとは思うが、腑に落ちない部分も出てきているのも事実。
しかし、個人的にはこの映画、突き刺さりました。涙腺崩壊です。
現実と幻想の境目が非常に曖昧になっていくという作品構造は、割とありがちとはいえ、大好きな設定です。
アンナは分身であるマーニーとの対話により、心を癒していく。
お互いにあなたのことが好きと告白し合うのは、つまり自己を嫌悪していたアンナにとっての自己肯定である。
他者とのコミュニケーション不全が心の病の原因なのだとすれば、病を直すには他者との交流を行う以外にはない。
他者と関わりを持てないアンナは、自らマーニーという他者を生み出すことにより、自己の真相の内部に潜り、傷を癒すのである。
癒しの完了したアンナにとってマーニーは不要になり、2人の別れが訪れる。
その別れのシーンは涙無くしては見れないです。
あと良い点。今更当たり前のようだが、美術が綺麗。背景が素晴らしい。人物の描写も見事。
声優陣も悪くない。有村架純はイマイチだったけど。
エンディングが非常に美しい。テーマソングが素敵。
百合要素は…視聴者サービス?
とにかく個人的には非常に泣けたし楽しめた。
米林マロ監督のこれからに期待!
たなかなかなかさん コメントありがとうございます。また フォローもありがとうございました。
そう!空気感!!それ!本当に素敵でした!ね!なんだか 観てると湿地や夜の匂いまで薫って来るような…(空気感とは違うかな?)
原作が有るというのは知ってましたが、そうですか。今度 探してみます!
この映画のような しっとりとしたアニメ もっと観たいですね。
レモンブルーさん、コメント&フォローありがとうございます😊
この映画の空気感大好きです😍
美術も素晴らしいし、シナリオも上品だし、もっとこういうアニメが増えてほしいな、と思います!
この映画を鑑賞してすぐ、原作も購入したのですが、そちらも凄く良かったのでオススメです!
まだ読まれていなければ是非!
この映画 ジブリの中で一番好きな作品です!公開当時の予告編が なんとなく女の子同士のLove系?みたいな雰囲気(笑)に思えて引いてしまい、観に行かず…。ある日、TVを何気なく観てたら金ローの時間になり、「ヘェ、マーニーか…ジブリだから ま、とりあえず録画しておくか…」と見始めたら どんどん引き込まれて行って…終わったら 一緒に観てた息子と顔見合わせ…「えー!凄い良い映画じゃん!!」と感激し合い(笑)ました。で運良く録画してたのを他の家族に見せたら、皆んな「良い!」と感激。我が家の人間には 刺さりまくった映画だったという訳です!
たなかたなかさんはマーニーはアンナが創り出した分身のような存在だと お考えなんですね。
私はベタにマーニーが孫娘アンナを想うあまりに幻の体験の中でアンナに寄り添っていた…と解釈してます。なので、アンナがマーニーが実の祖母だと知るシーンにボロ泣きしてしまいました。が、たなかたなかさんの解釈も なるほどと思います。
この映画は物語としても魅力的ですし、釧路湿原の描写や、アンナの叔母夫婦のなんともいえない手作り感ある素敵な家のデザインに惚れ惚れ!ジブリ作品は多分4作くらいを除いて他のは観てますが、本作は ちょっと異色な作品ですね。