「声は聴こえなくても、気持ちが届けばいい。」想いのこし shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
声は聴こえなくても、気持ちが届けばいい。
映画「想いのこし」(平川雄一朗監督)から。
ある交通事故で、突然、前触れもなく他界したばすなのに、
この世に残した強い「思い」が、なかなか成仏させてくれない。
その思い(願い)が叶ったら、自然と体が消え、あの世へ・・・。
(書籍・映画)「椿山課長の七日間」を彷彿させるような設定に、
「見たくないものも見えちゃう」のか、変な好奇心で観続けたが、
私の予想に反し、人間の汚い、嫌な面は少なかった気がした。
亡くなった4人、それぞれがこの世に残した「想い」は、
すでに幽霊だから、声として伝えることができない。
それを、話すこと以外で、なんとか伝えようとする、
その方法は、4人とも違うけれど、私の涙腺を緩めてくれた。
中でも、高校野球部の女子マネージャーが、3年生最後の試合を
「頑張れ〜」と精一杯応援するけど、当然、聴こえない。
「聴こえないよ」というのは簡単だけど、彼女の想いは、違った。
「声は聴こえなくても、気持ちが届けばいい」
この一言に、なるほどなぁ・・感じ、胸が締め付けられたし、
物語も期待どおりに、選手に彼女の想いが届く。
なぜ、彼女は彼らを応援するということに想いを残したか、
それは、たぶん、この台詞が説明してくれる。
「野球って、一人じゃ出来ないんです。
周りの人たちがいて、自分が存在できるんです」
短い人生だったけど、自分がこの世に存在していたのは、
3年間一緒に汗と涙を流してきた、野球部の部員がいたから、
そう思ったに違いない。
彼らも、目には見えない、彼女の姿を想像して、こう礼を言う。
「犬塚、三年間、一緒に野球が出来てよかった。
3年間支えてくれて、本当にありがどうございました。
これから、3年のみんなはバラバラになるけど、
俺たちずっと仲間だから。俺たちずっとお前の味方だし・・
お前は、1人じゃないから」・・この台詞で、涙が溢れた。