「いやはや…」パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
いやはや…
ヤダー、家で一人で拍手しちゃったじゃないの…演奏が素晴らしすぎて…
最初のただ音合わせしてるだけのシーンで既に驚きだったので、特に見る気もなかったのに結局最後まで見てしまいました。ちなみにパガニーニが俗物なので何度かエロシーンあり。
ストーリーとしてはありがちな話で、実在の人物の話って悲劇的なのばかりなので仕方ないと言えば仕方ないのですが、まぁ見ていて気分の良い話ではないです。パガニーニはアホだし、ウルバーニはクズだし、周りの人間はうぜーし、も~。
でも、それを補って余りある程の音楽の質の高さ。音の良いスピーカー買ってて良かった!
普段は映画のサントラはディズニー映画のくらいしか欲しいと思いませんが、これはサントラ欲しい(サントラ出てないらしい)。
パガニーニ役は、本物のドイツ人ヴァイオリニストのデビッド・ギャレットで(パガニーニはイタリア人ですが)、これが俳優業の初仕事らしいです。見られない程ド下手くそではないですが、上手くもないです。笑
が、演奏時以外は終始ウダウダしてる役なので(笑)自分は大して気になりませんでした。演奏は言うまでもなく、流石の音色です。音楽には詳しくないので技術的な面は知りませんが、とにかく無知でもわかる美しい音!
そして見逃せないのがシャーロットの歌声。序盤で父親のピアノに合わせて練習している時は、そんなに上手くないかなー、おかーちゃんの方が上手いなー、って感じだったんですが、パガニーニと共に舞台に立った時の歌声は、目ん玉吹き飛ぶくらい圧巻です。俳優本人が歌ってるそう。
最初は歌も微妙で、見た目はギリシャ彫刻みたいなのにどこかあか抜けないシャーロットですが、パガニーニと理解し合えてからはぐんぐん愛嬌が出てきて、歌も少女のような清らかな声で、その変化に驚きます。そして更に驚くべきは、ラストのパガニーニと縁を切った後のシャーロット。少女のような清らかな声も可愛らしい表情も消え失せ、重みのある声に仄暗さを感じさせる表情。いやはや、名演技でした。
あ、パガニーニの舞台で、観客の女性達が「キャー!!!!」バタッ…となるのが面白くて。笑
こういう名演奏する人は、今でいうアイドルみたいな扱いだったんでしょうね。クラシックコンサートの演奏中にワーキャー言うなんて今では考えられませんが、これはこれで楽しそう。当時の世相もわかるという意味では、ストーリーも別段ケチをつけるほど悪くないのかも。
とにかくもう「聴く」映画だと思って見てください。普段クラシック音楽系や伝記映画なんぞ見ない!という人も、一度は見てみて良いのではと思います。
自分は『アマデウス』よりこちらの方が好き…いや、単に自分がモーツァルトの曲にあまり好きなのがないので、好みの差かも。『アマデウス』の方がストーリーは良かった気がしますが、音楽が圧倒的だったのはこちらかなと個人的には思っています。
ほとんど演技より画の美しさと演奏を聴かせることに全振りしている作りが、むしろ思い切っていて自分には良かったのかも。最初から最後まで耳が癒されます。
ただ、ギャレットのヴァイオリンの音をCDで、映像なしで聴くと、特に感動はなく、自分は葉加瀬太郎の音の方が好きです。そういう意味じゃ、映画の力が結構凄かったのかも(^^;
とにかく自分はシャーロットを演じた俳優推し…したかったのですが、どうやらあまり主演作はないようで、有名ではないみたいですね。イギリスではドラマに出たり、映画のちょい役には出ているみたいですが…何で?こんなに美人オーラ出せて、演じ分けもできる人なのに???
ぜひシャーロットの歌い分け、演じ分けにも気を配って見ていただけたら。オススメです。
>>きりん様
だいぶ遅ればせながら…コメントありがとうございます。
シャーロット役の人は舞台出身なんですねぇ。オペラ界ではなさそうだなと思ったのですが、声楽やってる人なのかな?と思いながら見ていました。
『オペラ座の怪人』で一躍有名になったエミー・ロッサムと似た感じの歌い方かなーと自分では思っていたのですが(オペラほどビブラートに癖はないがPops歌手のように独学的な変な癖もない感じ)。
ギャレットはかなり先進的というか、クラシック音楽の枠から離れて結構自由にやってる人みたいですね。笑
ロックと掛け合わせて…と聞くと、自分は舞台『エリザベート』でトートを演じたマテ・カマラス氏を思い出してしまいます。
オペラ歌手とロッカーの歌い方は実は似ているそうで、クラシックとロックは意外と近しく、才能のある人には融合しやすい音楽なのかもしれませんね。
面白い映画でしたね。
シャーロットの声は、クラッシック出身ではないなとすぐ気付いたのですが、ニューヨークのブロードウェイのミュージカル出身の方のようです。
だからモデル業もこなしてロックもやる今風なデビット・ギャレットとの出演者同士の相性がとても良かったのだなぁと感じました。