「安全なところから見てる自分」おやすみなさいを言いたくて 紋さんの映画レビュー(感想・評価)
安全なところから見てる自分
ただただ戦場の悲惨さを安全な場所から見て考える、あたしのような人間は、行く人の事を、自分の感覚で計っても説得力はないだろう。
何を感じるか、それは、見捨てられた土地へ行き世界に情報を伝える人への感謝だ。
イラクから帰る飛行機で、家に帰る事を喜んでいる人は、一人もいなかった。と前に読んだ事を思い出す。
アフガニスタンなどの国へ行き、帰国したアイルランドはまるで別世界だ。だが、彼女はそこにいる事で、より強く葛藤を感じ続ける。何故なら、そこでは紛争地域など忘れ去られている日常があるからだ。怒りは増し、自分のやるべき事をやらなくては、どう抑えて良いのかもわからない。
ラストの事が印象深い。
ああいう時ジャーナリストは、どうすべきだろう。
主人公を見てて思う。動揺せず冷静にいる人など滅多にいないだろうと。色んなジャーナリストの話を見ていると、彼らは動揺し恐怖し悲しみ、そして怒りを覚える。それが、その人の仕事に様々な影響を与え、そうした経験が、もしかすると、彼らの説得力になったり、作品から与える影響力などになるのかもしれないと思った。
最初の自爆テロで、みんなに危ない!と叫んでたが、そうして良かったのだと思う。彼女は、自分が殺したと悔いていた。途中まで付いて行くといったのは彼女だが。
どんな事情があるとかにせよ、ただ無実の市民を無差別に殺すテロになんの大義も意味もない。綺麗事など通用しない。だが、そんな事がどうしただろう。どうであろうとテロは卑怯そのものだ。
自爆テロを強要されて犠牲になる子供は実際にいる。最近は遠隔操作で離れているやつが爆破するとメディアが伝えている。
アフガニスタンでは、爆破を強要された小さな子が助かっていたのも、ちょっと前の話だ。
アフガニスタンには、国をよくしようと命懸けで闘っている女性たちもいる。
そういうことを思い出したりする。
で、何より素晴らしいのは、監督の自伝的な作品であると言う点。
もう一つは、本当にカブールを撮っている点だ。
他の映画では、モロッコ(今回の作品でもモロッコはロケ地の一つ)が多く、この映画を見ていると、これカブールじゃないの?ってちょっと驚いた。確かな事はわからない。気になるから調べたところ、映画関係のサイトで、ロケ地にカブールが書いてある。
監督の経験からも、カブールを撮らないわわけにはいかなかったのではないかと思う。
ラストの曲も素晴らしい。
夫にあまり同意できなかった。
ケニアとスーダンの国境近くだったっけ。
夫も行けば良かったのにって、ちょっと思ったりした。
あたしが知る事が出来る、それも安全なところで、この事に感謝する気持ちになった。