「誰も他人を愛することはない」真夜中の五分前 Oolongさんの映画レビュー(感想・評価)
誰も他人を愛することはない
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リウ・シーシーさん目当てだったが、かなり面白く、深い内容だった。
どちらかわからないほど瓜二つなこの双子は、自分自身がそれぞれルオランとして、ルーメイとして、本当に承認されているのか、愛されているのか不安に駆られていたのかもしれない。自由に生きるルーメイに比べて、やりたかった仕事やティエンルンを取られてしまったルオランは、とりわけ自分のアイデンティティがあやふやだったのではないか。
作中に出てくるフェルナンド・ペソアの「誰も他人を愛することはない」の詩は、ルーメイ(仮)にとって救われた言葉だったのではないかと思う。ルーメイ(仮)は自分がルーメイなのかルオランなのかを、他人から識別してもらうのではなく、自分がどう思うかを選択していくのではないか。個人的にもこの詩の内容はものすごく腑に落ちた。
ルーメイ(仮)と表記したが、旅行中の手紙の内容とラストシーンを合わせて考えると、やはり生き残ったのは姉のルオランなのではないかと思う。時計を戻しに来たのは、自分がルオランであることを証明するためではないか、と思った。
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