「JJもひっくり返るスピルバーグLOVEの変態監督現る」ジュラシック・ワールド しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
JJもひっくり返るスピルバーグLOVEの変態監督現る
第1作公開時、大学生だったオレは、確かに驚異的な画にひっくりかえった記憶はある。しかしラプトルの狡猾な恐怖、T-REXの圧倒的な獰猛な恐怖も味わいつつも、「パーク」な人間模様に意外と「甘い」印象が残り、なんとも煮え切らない存在が「ジュラシックパーク」のオレの評価。
まあ、同時期の「シンドラーのリスト」のインパクトのため、のほうがそうなった影響が大きいかもしれない。
それでも、1作目に深遠なテーマ、人間の、え?エゴ?とか神への無謀な挑戦?、え、なにそれ?のことなど、さらっさら感じてはいなかった。
「ジュラシック・ワールド」
「パーク」が「ワールド」とかしょうもない話はオタに任せておいて、まずはビスタに目を引く。なるほど、スピルバーグですね、と。
しかし、それだけにとどまらず、映像はスピルバーグの「シンドラーのリスト」以降の「銀残し」な映像でなく、「パーク」時の映像によく似ているのにまた目を引く。さらに登場人物へのズームなどのカメラワークもそっくりで、こりゃ徹底してるねえ、と。
しかし、さらに。
レイティングがGとはいえ、意外とエグイ。
ブライス・ダラス・ハワード演じるクレアのムチムチ感とか、肩幅とか。さらにヘリ内の揺れに怯えるクレアの悶えにはおやじの俺にも刺激は強い。
というのは置いといて、甥っ子監視役の、しつこいまでの恐竜たちかの構われ方のエグみ。クレアの乗るトラックの窓ガラスにいきなり血しぶきとか、このへんのエグさもよく似ている。
まあ、本家は血しぶきは浴びせるかもしれないが、本家には多分ムチムチは出ないだろう。
見どころはそれにとどまらず、中盤の、1作目のラストの舞台を道中見せるところや、ラストの1作目の見せ場と同じ危機状況に置くところも楽しい。
またおなじみラプトル、T-REXの扱いもいい。ラプトルの超適当な行動もカワエエし、二転三転する展開もカワエエエエエ。
特に面白かったのが、終盤の社長さんの「人間の進化とか、前回の教訓だとか、」の演説をしようとした途端、ラプトルが登場し、演説を黙らせるところ。
いいかい、それって、ジュラシックシリーズに深遠なテーマなんて存在しないよ、って言ってんだよ。
第1作はスピルバーグがガキを喜ばせ、あるいは恐怖に震わせるための映画で、本作は1作を見たおやじを喜ばせ、そのガキを喜ばせる、あるいは恐怖に震い上がらせるための映画。
狙いとして、そしてその結果としては、興行面だけでなく、中身にも最大級の賛辞を贈りたい。
この映画に既視感を感じ、何も新鮮味がないと言う人もいるけど、ここまで変質的にリスペクトしていることまで観てそう言ってないだろう。
ここまで変質的にリスペクトは、もう超新鮮。超変態。
「スーパー8」でみせたJJの愛がひっくり返るほどの、スピルバーグLOVEの変態監督の登場。
追記
ブライス・ダラス・ハワード。カワエエ。声もカワエエ。第1作の、30年たっても変わらないローラ・ダーンなんかよりもイイネ。
追記2
本年度暫定1位の「フォックスキャッチャー」に迫る変態映画。さてこまった。「フォックス・」は映画史に残る傑作(採点関係なし)だが、本作もあらゆるシリーズものの最高級の変態度。
追記3
スピルバーグと袂を分けて??ルーカスに走った??JJ。さあ、どう出るか。年末の楽しみが増えたね。