her 世界でひとつの彼女のレビュー・感想・評価
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不在の彼女とわたしの世界の美しさ
漆黒の夜に浮かぶ都会の灯り、眩い陽射しのなかの海辺、深い蒼から薄く赤く明けていく空。
そこにいるわたしと、ここにいない彼女。
わたしたちの存在する、移ろう世界の色が美しければ美しいほど、存在しない"彼女"との恋愛も美しかった。
いつかの出来事
じんわりと。
ナカメキノにて鑑賞
『ラースと、その彼女』よりも辛辣な切ないにも程がある恋物語
離婚協議中のセオドアは新発売のOS を購入。Siriを遥かに凌ぐ高性能の彼女はセオドア君の要求を完璧にこなす最高のパートナーとなるが、いつしか彼女はセオドアにとってかけがえのない大切な存在になっていく。
ラブドールに恋をする『ラースと、その彼女』とテイストは似ているものの、こちらの方がより辛辣。スマホ片手に街中でダンスやビーチでデートなど、スマホを始終弄っている中年ならかなり身につまされるお話。劇中の通行人は皆ブツブツ独り言を言っていてOSと会話しているのか人間と会話しているのか判別がつかない近未来で、自分に都合のいい女性像をとことん追求していくとそれは人間という枠を飛び越え、信仰にも片足突っ込むことになる。主演のホアキン・フェニックスが見事にダメ男を体現、声だけのスカーレット・ヨハンソンをはじめ、エイミー・アダムスやルーニー・マーラ等女優陣がものすごくキュート。特にセオドアの回想シーンに出てくる元嫁キャサリンを演じるルーニー・マーラの透明感は素晴らしいです。そしてホイテ・ヴァン・ホイテマによる近未来にしか見えないロケ撮影がとてつもなく美しいです。
視点は面白いんですが。
人工知能に恋をするおじさんの話なんですが、イマイチ感情移入できないかんじがしました。OSですから基本的には自分からなにかを提案することもないですし、大きく意見が違うこともない。ときどき気分を害したりしますが生身の人間に比べたら聞分けがよいわけです。そういう人格にいやされたい主人公というのは現代人の典型かもしれません。僕もそういうプラトニックな愛にあこがれた時期がありますが、やっぱりものたりないですよね。だって基本的に自分の意見に賛成な人間といても結局は自分の考えを繰り返し確認している行為にすぎないわけですから、自分が変化するということがなくなるだけでなく、エゴが肥大する危険性もあるわけです。 多分監督の狙いはそういう部分ではなくて、OSのとった最後の行動のように個人の男女の愛情から性と時間と空間をこえた果てしない愛の世界ということのような気がしますが、その辺の結論もすごくナイーブですね。
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