インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌のレビュー・感想・評価
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とても良くできたネコ映画&イタい男映画
とても良くできたネコ映画&イタい男映画.キャリー・マリガン出てなかったらスルーしてたが観てよかった,さすがコーエン兄弟.マリガンは(ある意味)ビッチ役なのに好アシスト.
人生どん詰まり
どん詰まりのどうにも前にも後ろにも行かない人生。でも、救いの手はそこらにあって気付かない、気付いてても自分を捨てれず漂ってる男の話だと思った。ジーンの住んでるアパートの廊下の間取りが彼の人生と重なって見えた。才能はあるのに性格や環境で埋もれてしまった人って今も昔も沢山いたんだろうなと切なくなった。この後ケネディの曲は大ヒットして印税入って来なかったんだろうなぁとか、ラストの演奏の後ボブ・ディランは売れて行ったんだろうと思うと辛い。
音楽がとても良かった。
ちょっとだけ、転がった
行き場が無いようなそうでもないような、歌うこと以外はだらしない男の、トホホホな一週間のお話。
面白かったです、ネコが名演技でした。
溜めに溜めたツケに背中をど突かれて、ちょっとだけは転がったようにも見えるけど。終わり方が粋で良かったです。
スタジオのシーンは素晴らしい才能の競演にワクワク、これだけで観たかいがあったと思いました。
シカゴに向かう車に同乗していたジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランドのコンビも印象的、ギャレット・ヘドランドの起用が面白いです。
味わいも、あと味も深い映画。
観終えてなぜか「邯鄲の夢」という言葉が頭に浮かんだ一本。
ユリシーズ…かぁ…
信念を曲げられず、かと言って音楽も捨てられず。
で、どん詰まりライフの男の、大分に不運な日常。
それを静かだけどバッサリと、黒い笑いを取りに来るコーエン印で描いた快作。
オスカー・アイザックの見事な歌声&演奏もあり、音楽が良いのは当然。
それ以上に、鬼のように口の悪い女性シンガーを演じたキャリー・マリガンが非常に魅力的で◎
そして小さな光りを感じさせるラスト…
苦味の中に爽やかさが残る一本。
夢を追う、うまくいかない日々
諦められない、忘れられない、離れられない、けれどうまくいかない。
成功したい、音楽で食っていきたい、幸せを手にしたい、だけどそれが叶わない。
離れようとしては夢を追う道に戻る不器用なフォークシンガーの生き様は、何が幸せなのかをしみじみと考えさせる。
諦めた時が、夢から覚めてしまう時。けれど現実から目を背けて現実を生きることは、やはりしんどい。
売れない歌手のエレジー
これ、ルーウィン・デイヴィスって男の身に起きた、たった一週間の出来事なんですね。俺また十数日か、下手すりゃ一カ月間ぐらいの話だと思ってて。それぐらいに濃密なんですよ、彼の一日が。
ルーウィン・デイヴィスは売れないフォークシンガーで、売れないレーベルで売れないレコード出して、その印税をアテにしてるんですけど、肝心の印税がまず入ってこないという。金ないから店で数曲歌って日銭稼ぎ。住む場所もない住所不定だから友人宅を転々と回る日々。そうしてただ必死に一日を生きてるってだけなのに何故かいつもトラブル続き。口論になったオーディエンスにボコボコに殴られるわ、何故か知人の猫を預かることになるわ、その猫が逃げるわ、同業の女性を妊娠させるわ……毎日イイコトが殆ど起きないという。おまけに日々の暮らしにストレス溜まって時々情緒不安定。時々ブチ切れて人間関係台無し。そして(多分)自己嫌悪。まあ愛すべきクズ野郎ですね。
で、これ、そういうシニカルなコメディ映画ではあるんですけども、ルーウィン・デイヴィスってキャラクターが1960年代、ニューヨークを拠点に活躍した実在のフォークシンガーをモデルにしてるらしくてですね、登場人物達が歌うのも映画の特徴で。そこで特筆すべきが主演のオスカー・アイザックなんですね。彼の歌唱力が凄まじいんです。本当に歌手だったんじゃね?てぐらいめちゃくちゃ歌が上手いしギターも上手い。劇中の彼はフォークシンガーって設定だから勿論よく歌うんですけど、その歌がガチでこれで飯食ってけるんじゃね?てレベル。プロ並です。そこにビックリしちゃいました。その辺も注目して観ると楽しいかもしれません。
とある男の哀愁漂う一週間。楽しかったです。
愛すべきダメ男と気ままな猫をちゃんと描けている希少な映画
今年15本目。絶対に臭そうな服を着て、人の家のカウチを転々とするルーウィン。過去の栄光やプライドに囚われたダメな男…と思いきや、かつての相方との顛末をさりげなく観客に伝える中盤以降、ただのダメ男から不器用で純粋すぎるゆえにもがく男としてルーウィンの印象が反転して、ぐぐっと感情移入してしまった。
したたかで口汚いがルーウィンを許してしまうキャリーマリガンの気持ちも、わかる。面倒見の良いプロデューサーへのルーウィンの態度も、わかる。最後の歌の、絞り出すようなあの歌詞も、響く。あれはフォークというよりブルース。
コーエン兄弟らしいシニカルだけど愛のある演出手腕がビビッとはまってて好きな作品です。それにしても猫奔放すぎる(そこがかわいい)。
なんとなく
人生設計甘めで仕事がうまくいってるわけでもなく地味に生きてる身には堪える話だった。自分をみているようで。
主人公がいつ不条理の歯車に巻き込まれていくんだろうってドキドキしながらみてたけど、そうゆうのはなかったです
猫かわいかったな。私も猫の重みで目覚めたい
(印象、選択肢にあてはまらない)
時は、めぐる
時代の踏台となった、名もなき男ルーウィンの一週間を描く。
最初と終りのシーンは似かよっており、ラストで振り出しに戻ったかのようで、ループを思わせる。彼のその後の人生も、こんな一週間の繰返しなのだろうなと思う。
名もなき男は、名もなき男のままで一生を終えるんだろうな、という予感である。
その予感は、一週間の出来事にも滲んでいる。
例えば初老のデブのミュージシャンが片田舎のトイレでぶっ倒れるシーン。
例えばルーウィンの父親が老人ホームの窓辺に座っているシーン。
浮き世草のルーウィンの行く末を、暗示しているかのようである。
才能はあるが金もなく扱いづらい男の未来の姿である(もっと酷いことになってるかもね…とも思う)。
人の老い先、そしてその先にある「死」が点在する。
この映画の「一週間」を見ていると、名もなき男の行く末、生涯を見ているような気持ちになる。(ルーウィン一人のというより、父親、そして自殺した相棒といった、無数の名もなき男の人生が渦巻いているようにも見える。)
そういう無数の名もなき人の人生が積み重なって、時はめぐり、歴史の一部となっていくんだろうなと思う。一人の天才(ボブ・デュランのような)のためだけに、時は流れているのではない。一人の天才だけが歴史を作っているわけでもない。
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かつて相棒と二人で歌っていたFare Thee Wellを、ルーウィンが独りで歌うラストシーンがイイ。
映画中盤ではFare Thee Wellを歌えなかった、歌いたくなかった(相棒の死から立ち直れてなかったからだと思う)。
旅を経て、Fare Thee Wellを歌う。
華やかに高らかに誇らしげに歌い上げたりはしない。
含羞に満ち、静かである。
彼の歌には、本人、相棒…無数の名もなき人たちが滲んでいる。
だから、心打たれるのではないかと思う。
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追記:ティンバーレイクのミュージシャンとしての艶が素晴らしい。アイザック&マリガンも魅力的だった。撮影ブリュノ・デルボネルの微妙なさじ加減(マーレイ・エイブラハムのシーンなど)も良かった。
深い余韻の残る良作でした
売れないフォークシンガーのキツキツの一週間が描かれています。
スペクタクルが起こるわけでもないし、感動の結末があるわけでもない。全体的に閉塞感が漂い、妥協できずに深みにはまっていくルーウィンの姿は、画面とも相まって陰鬱な感じに終始します。
でも、際立つサブキャラ、ところどころに散りばめられたユーモアは秀逸です。製作者や役者陣の、この作品に対する、あるいはルーウィン・デイビスというキャラに対する深い愛情がひしひしと伝わってきます。
はじめのシーンをラストと重ねる演出もいいですが、初めには披露されなかった演奏シーンがラストではきちんと公開され、それがルーウィンの「心の叫び」的に響きます。
音楽はT-ボーン・バーネット担当で、生収録らしいですが、感動的です。劇中の500 MilesやPlease, Mr~のパフォーマンスだけでももう一回見たくなりますね。
コーエン兄弟ものとしてはファーゴやバーバーの次くらいに気に入りました。
フォークの素晴らしさにどっぷり!!!!!
60年代のニューヨークでのストーリーでしたが、撮影自体が近年代調っぽくて、あまり60年代の雰囲気を感じられなかったのが少し残念...
それでも劇中の使用曲に終始ウットリしちゃう程フォークの素晴らしさを随所に感じて鳥肌たちまくりの作品!!!!!
また主人公のいい加減さが、今現在迷っている人達には、かなり共感出来るのかもしれない ((苦笑))
キャラクターが出演者各々に際立っていて、中でも突然主人公の相棒になった猫に終始微笑まされちゃいました!!!!!
コーエン兄弟監督の作品としてというよりも本当に彼等が作りたかった映画作品であり、今現在のフォーク~音楽シーンにモノ申す的な作品っぽくて、音楽好きには、たまらなく面白く興味深い作品なんぢゃぁないかな?!?!?
という気持ちになりますね v(*'-^*)^
そこまでいいと思わなかった。
音楽はいいし、時代の波に埋もれていく人々の様子を切なさや笑い、皮肉を込めて描かれているのもおもしろかったけど、そこまで高評価??というのが正直な感想です。
映画から読み取る素養に関しても、コーエン兄弟に関しても、フォークミュージックに関しても、リテラシーがなくてよく理解できてないんだと思います。
評価が高いだけに残念だった。
公式サイトのストーリーに、映画内で起こるエピソードがほぼ全部書いてあったので、確認作業になってしまったのも辛かった。けど、サイト見てなかったから、ラストかボブ・ディランの登場で時代の流れを表してることもわかんなかったわけで、一長一短だったけど。
久々にじわじわガツンときた
ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督作品は、
ノーカントリー、バーンアフターリーディング、シリアスマン、トゥルーグリッドを観ている程度。
バーンアフターとシリアスマンはあまり好きではないが・・。
今作は、作品と自分の相性が良かったのか、じわじわガツンとやられた。何度も観直したいと思う程だ。
キャリーマリガン目当てで観たけれど、しっかり映画自体にやられた。
話としては、ルーウィン・デイビスのとある一週間を描いているのだが・・・。人生の何年かの出来事なのでは・・と思う位の濃密さだ。
何より、主人公の成長がしっかりと描かれているところが好きだなと。最後、ライブで昔の相棒と歌っていた歌を歌うところは、ぐっときた。あの歌は本当に良かった。
他方で、とある一週間という物語の始まりが(朝目覚めるところから)、猫によりもたらされ、猫により動かされる。
この猫が、良い味を出していて、猫の演出がとても良かったなと。
最後の方で明かされるが、名前が「ユリシーズ」というのは、意味があるのだろうと。
アイルランド人の作品なので、ルーウィンの出自とかけているのだろうか。確か母親がアイルランドの生まれという話があったと思う。
(ウェールズではなかったよな・・と曖昧な記憶だが)
また、The Death of Queen Janeを、シカゴのライブハウスで歌うあたりもそれとなくかけているのだろうかと、邪推してしまう。
考え過ぎかな・・。
物語の初め、ステージを終えた後に、客が来ていると店の裏に導かれるが、男が待っていて、殴られるが、物語の終わりでも同じようにボコボコにされるが。
あれは、お店で暴れた罰を受けているのではと..。ライブハウスの店長の差し金だろうなと。確かにあのヤジはヒドイ、毎週同じ事してるのかと・・・。
そして、あの男を見送り、映画が終わるのだが、この終わり方も好きだった。
ボブディランもしっかりと出てきたし。
とまぁ、脳内で補完した部分があるものの、個人的にかなり好みの一作となったなと。ただ、勘違いが過分にあるかもなので、観直してみないと何とも言えないな。
フォークを聴くためだけに観ても良し
どうにもパッとしないフォークシンガー。
いい声してて、いい曲つくっても、日の目を見ること無く、消えていく。この世にゴマンといるであろう、才能のある無名人。
何をやってもうまくいかず、どんづまって、でも、今日も生きていく。
そんなじれったい毎日に色を添えるのが、フォークソング。
アメリカの荒涼とした大地をいく、けだるいドライブのシーンを見ていると、まさにここで生まれた音楽だと納得。
オスカー・アイザックは勿論良かったけど、ジャスティン・ティンバーレイクもやっぱり歌が上手いなあ。
ねこかわええ… AND 難しかった(追記あり)
フォークミュージックにはあんまり興味ないし、コーエン兄弟がこれまでにどんな作品を作ってたかも知らないし、役者もキャリーマリガンしか知らない、というわたしがなぜこの映画を観たか。
それはどこかで秀逸なねこ映画だと聞きかじったからです。
キジトラ?茶トラ?のねこちゃんのかわええこと…頬が緩みまくりでした。
あんなおとなしく地下鉄乗って、流れる風景を見とれてるなんて!車の中でルーウィンの膝の上で、ルーウィンと一緒に振り向く所とか、かわゆすぎる…わたしにもなでなでさせて!
もし来世とかでまともな人間になれたら、絶対にねこと暮らしたいと、叶わないまま願いたい夢なのですよ。今生では多分無理だからさ、わたしダメ人間だからさ。
そういう意味ではもう文句なしの、猫充映画でした。満足です。
ちゃんちゃん。
で終わっても良いのですが。
見る側のリテラシーが問われる構成について、わからなかった側としての感想を述べます。
以下すごいネタバレです。
冒頭、ルーウィンの歌から始まって、出番が終わったら店主に「友達が裏に来てる」と言われたので外に出たら、多分知らん男がいて「昨日野次ったヤローか?」と言われ、ボコボコにされるです。
で、次のシーンから猫と友達の家で目覚めて、猫連れ出して………と続いてゆき、
初めに歌った店でまた歌うことになり、その前日に、店に来ていたルーウィンは、中年女性が歌うステージの最中に酷いヤジを飛ばしてステージをぶち壊しにし、店を追い出されます。
でも翌日にまたその店で歌ってる。昨日の今日でよくまぁ。店主優しいなぁ…おんなじ首吊りの歌やなぁ。なんて思っていたら、
またもや、出番が終わったら店主に「友達が裏に来てる」と言われたので外に出たら、多分知らん男がいて「昨日野次ったヤローか?」と言われ、ボコボコにされるです。夕べ野次った中年女性の夫にボコボコにされたんです。そしてエンドロールが流れて終了!
ということで冒頭のシークエンスが繰り返される構成だったんですが、
これって、どうゆうことなんでしょうか?
冒頭のは未来のことで、友達の家で目覚めて猫と会うところが時間軸としては、一番過去ってことなんですよね?
では冒頭とラストに2回同じシーンを繰り返した意図はなんだったんでしょうか…?
わからんかったです。そうゆうのを読み解くリテラシーがないんですねー。しょんぼりです。
ねこと出会ってからの、ついてなくて自業自得でためだめなルーウィンの旅は、大変楽しく堪能できましたが。
構成が理解できず、、、
勉強が足りませんなぁ。
あと、ねこのなまえがユリシーズだったことも何かの隠喩だと思われますが、わかんなかったです。以上。
ちゃんちゃん。
↑このように書いてから一週間。この映画の構成について考え続けてしまったのですが!ともだちともわからんよねーとかゆってたんですが!
わかったかも!ということで追記。
あれは、冒頭のは予知夢ですね。
夢で観てた→猫に起こされて一週間ついてない日々をすごした→らすとにボコボコ。あれ?なんかデジャブ…→夢でみたんだ!
で、説明できますね。なるほどなるほど!
すっきりした!
夢オチなんですなー!
お騒がせしました。
我等が仲間の物語
T-Bone Burnett が手掛ける音楽は常に魅力的である。
(飽く迄も私の体験した範疇でわ あるが)
『オー・ブラザー!』然り『クレイジー・ハート』然り、America の roots 音楽に グッと来る貴方・貴女は きっと、筆舌に尽くし難い感動を覚える筈で ある、きっと。
John Goodman と云えば Ethan& Joel Coen 監督!!
と誰もが叫ぶ(?)常連組を始め、出てから 45秒は気付かなかった(笑) Carey“黒髪”Mulligan と出演陣も流石に豪華♪
そんな中
「あちゃぁアイツみたいやなぁ」
「是わ確かに自分も経験したのぉ」
と思いを馳せる物語。。。
そんな私は、今日も Anton Chigurh に怯えながら日々を過ごすのである。
ギターがいい。
コーエン兄弟の独特のテイストが戻ってきた。観ている間中、そのことばかり思っていた。
「ミラーズ・クロッシング」や「バートン・フィンク」の頃のコーエン兄弟である。
主人公は売れないフォーク歌手。彼の歌う歌に味がある。日本にもギター1本で歌う歌手はたくさんいるし、いい曲もたくさんある。
だが、ルーウィン・デイヴィス、引いてはオスカー・アイザックが歌う歌には思わず聞き入ってしまった。
大物プロデューサーに曲を聴いてもらって、その評価が「金にならんな」というのは、なんだかあてはまりすぎて、逆にドキッとしたほど。
ルーウィンも、もうやめよっか、と思うくらい。
いろんなことがルーウィンに降りかかってきて、八方塞がりなんだけど、まわりの人たちはみんなやさしい。
ルーウィンは、見ていると、歌が好きというわけでもない。歌っていると気が晴れるというわけでもない。でも歌う。
本当は生きがいがほしいから?
とりあえず生きている、という人にはけっこうささるかもしれない。
何度も反芻して楽しめるスルメのような映画
悲しくて笑えるというのは矛盾していますが、トホホな男のトホホな日々を描いた映画なのです。淡々としていて、決してドラマティックではない、ロードムーヴィーのような映画とも言えます。
とは言え、1961年のグリニッジヴィレッジのライブハウスの雰囲気がリアルに感じられて楽しいし、コーエン兄弟の仕込んだ小ネタが満載で、観終わった後、いろいろ思い出して、また観たくなります。
後でいろいろ語り合うためにも、猫好きの親しい人と一緒に見に行くことをお勧めします。
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