「人生はシニカルだ」インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 マツドンさんの映画レビュー(感想・評価)
人生はシニカルだ
謎だらけの映画です。
謎が解けて背景を味わう事ができれば、おもしろさは倍増なのでしょうが、ユリシーズなど知るわけないし。
残念ながら細部は読み解けないけれど、全体像はおぼろげに見えている気がします。
主人公ルーウィンの人生は、ループしているということ。
たとえ、変わるための挑戦をしたとしても、本人が気づかないまま元の場所にもどってきてしまっている。それは、まるでネコの帰巣本能。
変われる男は、ボブディランと呼ばれる男。女神の寵愛をうけた、特別な存在だということ。
でも、ループしているのはルーウィンだけか?
ルーウィンほどの貧しさではないにしても、ほとんどの人は何かを夢みたりしながらも、実際の生活から抜け出せずループしている。それが現実。
映画に描かれる夢物語を、コーエン兄弟はシニカルに笑っている、ような気がします。よく考えてみれば、こうした映画の世界そのものが、実はコーエン兄弟が帰ってしまう場所なのか?
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