「想像してたよりは悪くないが……」STAND BY ME ドラえもん といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
想像してたよりは悪くないが……
想像してたよりは悪くない。でもそれは原作が面白いのであって映画が面白いわけではない。というのが総評。
山崎貴監督の作品は『アルキメデスの大戦』だけ鑑賞済みです。『アルキメデス』は個人的にもすごい楽しめましたし、世間的もかなり評価は高いですよね。山崎監督の別作品として、ルパンとドラクエも本当は観に行く予定だったんですけど、あまりにも評判が悪かったので結局観に行きませんでした。
・・・・・・・・・・
勉強も運動もできない冴えない少年である野比のび太(大原めぐみ)のもとに、未来の世界からネコ型ロボットのドラえもん(水田わさび)が現れる。将来、ジャイ子と結婚して散々な人生を送ることになるのを変えるために、のび太と共に生活を送ることになる。
・・・・・・・・・・
何で山崎監督は映画作る時に薄ら寒い絶妙にダサい英語のサブタイトルつけるんだろう。「そういうセンスの持ち主なんだろうな」って感じですね。年に1~2本くらいのペースで映画作っててとにかく多作な印象ですね。そして、映画をそんなに見ないライト層には好かれているけどコアな映画ファンからめちゃくちゃ嫌われている印象もあります。「そこまで言わんでもええやん」ってくらいの酷評レビューもよく耳にしますよ。ライムスターの宇多丸さんとかね。そういうタイプの監督の作った作品ということで、正直かなり警戒しながら鑑賞しました。
結果的に身構えて観た割に、『STAND BY ME ドラえもん』は「そこそこの良作」だったと思います。
少なくとも酷評するほどではないと感じました。迫力のあるタケコプターの飛行シーンなど、平面のアニメではなく3Dにした意義もしっかり感じられましたし、立体的に見えることで「こうして見るとドラえもんってデケェな」みたいな新たな発見がありましたし。ストーリーもしっかりしていたし笑える部分はしっかり笑えた。
しかし同時に「これは山崎監督の功績なんだろうか」とも思います。
だって原作のあるストーリーなのでストーリーが面白いのは原作のおかげですし、迫力満点の3DCGは魅力的でしたがCGの製作を仕切っていたのは多分山崎監督じゃなくてCGスーパーバイザーの鈴木健之さんですし。エンディングの感動も秦基博さんの曲のおかげです。
監督業が八木竜一さんとの共同なのでどこまでが山崎さんの手腕でどこからが八木さんの手腕なのかは全く分からないんですけど、少なくとも脚本担当の山崎監督が原作を改変して付け足したのであろう「成し遂げプログラム」とか「エンディングのNG集」とかは正直見ていて不快に感じるレベルでした。
本作の山崎監督の功績は「原作改変が少なかったこと」なんだと思います。オリジナリティを出した次回作の『STAND BY ME ドラえもん2』の評価が本作と比べて低いことからも何となく察しました。
不満点も多少はありますが、決して悪い作品ではなかったです。観て損はないと思います。