ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のレビュー・感想・評価
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だから何?
少しボケてる年老いた頑固な父親とダメ息子が道中で心通わせてゆくとゆう有りがちなパターンのアメリカン・ロードムービーだが、イマイチ琴線に触れるモノがないのは、主観的な目線による脚本のせいだと思う。
小津が優れていたのは定点観測とゆう徹底した客観性にあったから。
その距離感に観客が感情を乗せる隙間があったからだと思う。
この映画は作り手の目線がキャラに近寄り過ぎてて逆に入り込めない。
この監督の作品は評価が高いモノが多いが、あまり好みではない。
●男は面倒くさい生き物だ。
男は面倒くさいのだ。年寄りも面倒くさい。
それでもやっぱり親子だ。温かい気持ちになる。
ボケた親父につきあって長旅するセガレ。
100万ドル当選した。トラックとコンプレッサー買うって。
グチるばさま。たかる知り合い。
モノクロがいい。さりげない街の景色がキレイだ。
穏やかな気持ちになる。
無口で無関心な親父。
文句ばっかのばさま。
頼りないセガレ。
その奥にある、それぞれの想いにグッときたわ。
地味に面白い
白黒だし、おじいさん薄汚いし頑固だし、息子ばっとしない、おばあさんうざい、で、面白いのか?この映画、と思って見出したが何だかんだ文句つけてた人たちがどんどん魅力的になり、ほんわかした気分で最後まで観ていた。いや、こういう映画も良いものだ!
規格外に癒された
なんでこの映画をDVDなんかで観てしまったのだろうと後悔です。
まず!
じじいばばあが小汚いのがいい!!
映画内の老人は小ぎれいにされてて設定年齢より実年齢がかなり下の俳優だったりってパターンでがっかりすることが多いのですが、さすがペイン監督だと思いました。だからこそ癒されるし、本気でムカつける!最高!!
一回の「ファッッキュー!!」と一発のパンチにこんなにもカタルシスのある映画がかつてあったでしょうか!
人物描写も素晴らしかったです。
お母さんがやたら親類や近所の人の情報に長けてるところは僕のおばあちゃんそのものでした。
涙が流れはしませんでしたが、胸を打つシーンが次から次へと押し寄せ、心をバシャバシャ洗われたような感覚がありました。
最高。
いい旅はいい関係を築く
100万ドルに当選したというインチキ臭い手紙を信じて疑わない老いた父と、そんな父を目的地まで連れて行く事になった疎遠の息子。
1500kmにも及ぶ父子旅。
派手な要素も劇的な出来事も一切無い。
淡々とした展開で、ユーモアとペーソスと、しみじみとした感動が染み入る。
ハリウッド映画と言うより、まるで日本映画を見ているよう。
旅の途中立ち寄った懐かしの地での親戚や旧友の人間臭い描写なんて、山田洋次の映画でよく見る。
ロードムービー×人間ドラマを描かせて、アレクサンダー・ペインに並ぶ者は、今、ハリウッドでもそうは居ない。
ブルース・ダーンが俳優人生晩年になって、最高の名演!
無口で頑固者、半分ぼけているちょっとの愛らしさ、そして滲み出る哀愁…この枯れた味わいは絶品!
息子ウィル・フォーテも受け身の好演。呆れつつも常に父の傍に寄り添い、何て孝行息子!
一際印象を残すのがジューン・スキッブ。
毒舌・下ネタの老いた母だが、金の無心に来た親戚を一喝するシーンは、座布団10枚!
白黒の映像が素晴らしい。ペン画のような美しさ。
この素朴な物語に白黒の映像が見事に合い、より作品の効果を上げている。
懐かしの地で母と長男と合流。
親戚や旧友から思い出話、困った話を聞く。
良くも悪くも、ちぐはぐだった家族が一時集う。
怪我しても体調不良になっても、100万ドルに執着する父。
その理由に、不器用な父の愛を知る。
父を馬鹿にして笑う父の旧友へ息子がお見舞いした一発。
ラストの息子から父へのプレゼント。
間違いなくこの旅は、意義あるものになった。
ロードムービーらしい
ゆるく、これといった大した起伏もないストーリーがロードムービーっぽくてよい
100万円を受け取りに行くと言って聞かない親父に仕方なくついていく息子
出てくる人物が皆、少し抜けてる感じでそれが面白さを助長していた気がする
ロードムービーは、ホント、モノクロがよく似合う
何だか、心がホカホカと温まり、ラストはホロリと味わい深いですね
先ずこの映画の舞台はアメリカ中西部の片田舎と言うのがグッと心に沁みた。
そして映像はモノクロで、いかにもここ数十年殆んど大きな変化も無く、この街では総ての時間がゆったりと流れている、そんな感じのノスタルジックで、スピード感も無く、
スローでテンポを抑えた画作りは、私の心をドップリと物語の中へと引き込んでいった。
牧草地帯の多いこのネブラスカ州では、主な産業と言えば農業が中心なのだろう。
緯度的には北海道と同じ位に位置しているこのネブラスカは我が国の本州程の広さが有る広大な酪農、農村地区。
何だかこう言う片田舎の街道をずーっと旅するロードムービーと言うのは本当にそれだけで、物語になる。
人間は誰でも個人では生きられない。集団生活を営む事で進化を遂げて来た。そんな人類の遺伝子の中にはきっと、農耕生活を続けて来た先祖の遺伝子が、世界中のどんな人々の中にも受け継がれているのだろうか?それ故か、田舎暮らしの経験の無い自分もピタリとこの世界観にハマってしまったのだ。理由は定かではないにしても、思わずそんな気持ちをも想い起こさせるような、不思議な親近感を感じる物語であった。
そしてこの作品の主人公のウディ爺さんを演じているのが、ベテラン俳優のブルース・ダーンと言うので本作を観ようと決めていた。
彼はあのハル・アシュビー監督の「帰郷」や「ひとりぼっちの青春」「名犬ウォントントン」ヒッチコックの「ファミリープロット」などジャンルを問わず様々な名監督の作品に出演してきた。近作ではコッポラの「ヴァージニア」やタランティーノの「ジャンゴ」にも出ている。そして近年リメイクされた「華麗なるギャツビー」がヒットして、再び「華麗なるギャツビー」の話題は大きく取り上げられたが、ロバート・レッドフォードの宿敵であるトム・ブキャナンを演じていたのだから彼がいかに人気実力共に有る俳優であるか今改めて思い知らされるのだ。
そして賞金を貰える事を信じて、バカと罵られようと何故ウディがこの旅を始めようとしたのか、その動機が最期の方で明かされるのだが、これには本当にノックアウトさせられました。思わず廻りも気にせず号泣してしまいましたね。
何だか自分も段々と年を重ねて来たのか分からないが、人の優しさに触れるとついつい涙腺が緩んでしまいます。特に大きな事件や、変化などドラマチックな出来事も無い平凡な日常こそ、最も愛おしく、素晴らしい輝きを放っている時間だよね。
アレクサンダー・ペイン監督の描き出す家族の肖像には、何処となく小津監督が描き出して来た人間の原点を重ね合わせて観てしまう。貴方は彼の作品をどう観るのでしょうか?
親父ー。
自分は親父の為に他人を殴れるかな。
シンプルの中にも深いテーマがありました。
詐欺まがいだと分かりながら当たりくじを金と交換しに行くと聞かない父とその息子。
2人で旅する間に再確認したのは2人、またその他の登場人物との「繋がり」でした。
親はいつまで経っても大事な人。
他人は他人。戦友でもね。
何となく、何となく。
感動した!泣いた!素晴らしい!スタンディングオベーション!という、激しいまでの感嘆は湧いて来ないです。
登場人物達にしても、感情を迸らせるほどの激しい心の動きというのは、全編を通して皆無です。
なんと云いましょうかね、終始、ユルいです。
というか基本はロードムービーですからね。この手のジャンルって往々にして、物語運びがゆったりもったりしてるじゃないですか。
だからすんごい面白いエピソードが出てくる訳でも、大事件発生て訳でもない。かといって何も起きないって訳じゃあない。ペーソスでナードで、少しだけルサンチマン的な要素も入った、主人公達にとっては難儀な出来事の数々というか。
(偏屈で半分ボケかけの年老いた)父親の、我儘を遥かに通り越した駄々っ子的要望を、(人生の落伍者ではないんだけど何となく私生活や諸々に満たされてない)次男坊が、辟易しながらもそれに付き合ってやるという物語展開です。
次々と振りかかるユルいハプニングを通して、何となく心をかよわせ、何となく分かり合り、何となく互いを知り合い、何となく、僅かばかりの親孝行をして、そして日常へ帰る。
そんな、とある家族の数日間をモノクロ映像で、なのに鮮やかに描き切る、アレクサンダー・ペイン監督の手腕。今回も堪能いたしました。
家族愛の映画。
父と次男のきずなが深まる旅に、母と長男も絡んで家族愛を見せてくれる作品でした。
モンタナからリンカーンまでの旅をモノクロ映像でみせるけど、これがこの家族の優しさにあっていてとても良い雰囲気です。
頼まれると断れない口数少ない父と、なんでも口をついて出てくる母。バランス悪そうだけど、その実丁度良い夫婦バランスなったりして面白い。
なんだかんだいいながら父親のわがまま行動に付き添い家族たちになんともほっくりくるのでした。
しかし、ブルースダーン、この老人演技すごいな〜。
家族っていい。
現在の監督のなかでは打率が相当高いアレクサンダー・ペイン監督の新作である。
まだ53歳なので、これからもどんどん撮ってくれるだろう。
100万ドルが当選したという手紙がウディ(ブルース・ダーン)のもとに届き、ウディはその賞金を受け取るために単身ネブラスカのリンカーンに向かおうとする。
次男のデイヴィッド(ウィル・フォーテ)や妻のケイト(ジューン・スキッブ)は詐欺だとして取り合わない。
だが、頑固なウディはなんとしてもリンカーンへ行こうとする。
結局、デイヴィッドが折れて、ともに旅をすることになる。
アレクサンダー・ペインは僕と同世代で、だから、丁寧な人間観察には恐れ入る。
賞金当選がデタラメとわかって観ていて、でも、大金持ちになると聞いた回りの人間たちは、まさにハイエナのごとく寄ってくる。
人間の業というか性(さが)というか。
すごいのはケイトで、家では夫のことをボロカスにけなすのに、夫のお金は守ろうとする。ハイエナたちに一喝したシーンは胸がすっとした。
家族っていいもんだな、と久しぶりに思った。たぶんそれぞれに役割があって家族は成り立っている。
いい映画を見せてもらった。
モノトーンがものたりーん
男は痴態の限りを尽くし老いた。
辛酸嘗め尽くした人生。だがそれも自業自得。
それでもまだピカピカ車で見栄を張りたい・・男はいくつになってもガキだ。「
昔の女が振り返る「こんな婆さんになっちゃうんだったらもっとやっとけば良かった」・・セリフが聞こえるようだ。
醜く太った人々と老人ばかり出てくるが、それでいてどこか艶めかしいのは「いまのうちにやっとけ!」というメッセージか。
息子は父から男を学ぶ。
味のある映画」マニアのツボを押さえた佳作。
正気と狂気の境界線を綱渡りし続けるウディを演じるブルース・ダーンが良かった。
良かった。
登場人物が地味。
映像もモノクロームで地味。
ネブラスカ州への道程は何もなく広大な大地が広がるのみ、これまた地味。
この並びだけでは何も面白みがない映像が淡々と流れるように思えますが。
作中ではユーモアと家族の温かさ、そして田舎の澱みが描かれており決して退屈しません。
特筆すべきは父ウディ。
宵宵のウディは突飛な行動を繰り返しては周りを困惑させ続けます。
耄けてしまったのか。
いや、そうとも言い切れない所に本作の良さがあると思います。
耄けているようだけど、場面場面で「単に家族を困らせたいのでは」「故郷の面々の鼻を明かしたいのでは」というウディの悪意/悪戯心を感じます。
正気と狂気の境界線を綱渡りし続けるウディ。
本当はどちらなのかを分からせない所が本作の大きな魅力の一つだと思います。
その点で演じるブルース・ダーンの演技は素晴らしかったと思います。
ウディを取り巻く家族の面々も良い。
父と共に旅をする次男のディビッドの優しさ。
長男のロスと次男のディビッドのタッグの良さ。
そして母のケイト。
この母が話が進むについて印象が変わる点も良かった。
この父には、この母が必要だったということが徐々に確認する過程。
本作の楽しみ方の一つだと思います。
モノクローム映像も本作の魅力の一つ。
白黒映像が持つ懐かしさ、距離感が田舎を旅する彼等の姿とマッチします。
また色の濃淡が工夫されているため白黒なのに色鮮やか。
影の使い方やヒト/モノの配置も好きな作品でした。
地味だが味のある本作。
何もないネブラスカに実体のないモノを求めていくウディが、そして周りの人間が、旅を通して再確認するものは何か。
その過程、結論を見るため劇場に足を運ぶ価値はあると思います。
オススメです。
いい思い出ができた老父と、それを作った息子にほんのり
当たってもいない当選金の知らせを真に受けた老父に手を焼きながらも旅に付き合う息子が素敵。
何を言っても聞かず、ただただネブラスカを目指そうとする夫を罵る妻の口の悪さが、話に香辛料たっぷりのクセのある味付けを施す。
旅の途中で立ち寄る父親の生まれ故郷での出来事が、話の中心でもあり、ラストへの大いなる伏線でもある。
故郷の人々が大金を手にする父親を賞賛、妬み、たかりで取り巻くのは予想通りだが、父の過去や性格形成に触れることで父への理解を増す息子の心理がうまく描けている。
この作品はモノクロだ。町の人も含めて、心理の動きを表現しようとしたとき、たしかに色は不要かもしれない。不要というより邪魔か。モノクロにしたのは正解だと思えた。
コンプレッサーを取り戻そうとするシーンが笑えるが、モノクロだと昔のドタバタ喜劇を見ているようだ。
ついでだが、字幕が「空気圧縮機」になっていたが、あれは「コンプレッサー」でいいと思う。空気圧縮機? 普段、使わない言葉に、一瞬、何のことかピンとこなかった。
エンドロールを見ていたら、スタッフリストのヘアメイクが目についた。父親のあの無造作にばらけた髪の毛も計算されたものなのだろうなと思うと可笑しくなった。
あの髪と髭、ボケてるのかボケてないのか絶妙なバランスを作り出している。そんな父親のちょっぴり鼻息荒い凱旋と、息子の思いやりがほんのりさせるラストが見もの。
アレクサンダー・ペインの作品は、どれも幸せ気分に浸れるラストが待っている。
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