「1970年代の生きる20代の女性像ならこれも有りだが、今のイタリアがこれでは納得出来ないなぁ」はじまりは5つ星ホテルから Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
1970年代の生きる20代の女性像ならこれも有りだが、今のイタリアがこれでは納得出来ないなぁ
人間の幸福とは一体何?
私たちは、この世に産まれ出て来て、この地球で毎日生きていく自分の人生の目的や、価値、そして生き甲斐を何に定めるのか?こう言ったテーマを描いた作品は、星の数程ある。
この作品のヒロインのイレーネの職業は、世界中の5星ホテルに宿泊し、そのホテルの評価を判定する覆面調査員。
世の中本当に面白い商売と言うか、こんな職業があるのだね。
一般庶民にとってその生涯に1度は宿泊してみたいと憧れる5星ホテル、そこにもしも自分がオフの日以外はズーッと順次宿泊する事が出来るとして、それを何十年も続けなければならないと聞いたら、本当に嬉しいだろうか?
一見世界のみんなが憧れる最高級のサービスを毎日受けられるとしても、毎日ホテルに調査目的で宿泊し、食事からサービスの総てを受けながら、そのサービスに対して順次判定を付けるとしたら、やはり憧れのセレブ生活が可能な、憧れの職業として、彼女と同業の職業を選ぶ人がいるだろうか?
こんな職業に幸せや、この仕事に対して、遣り甲斐を尚も感じられる?
世の中、一人一人価値観に相違があるので、イレーネの職業に憧れを持つ人がいたとしても不思議は無い。だが、少なくともこの映画の可笑しな所は、このヒロインが40歳を過ぎる今迄に真剣にその事に疑問も持たずに生きて来ていたと言う、彼女の価値観や、生き方に映画作品として高い評価を見出す事が出来るのだろうか?
ヒロインが演じる職業としてのアイディアとしては、変化があって発想的には興味の持てる部分だ。
しかし、自己の人生への新たな気付きや、目覚め、人生を見つめ直す事を想い立つヨソジ女の再出発映画としては、些かこの映画の設定自体が不自然と言うか、無理が有るのではないだろうか?これが、もしも20代の女性の葛藤なら、理解出来ない事もない。
しかし、40代を過ぎた女性の価値観とは到底考えられないところに、この作品の設定に無理が有ったように思える。
「マリーゴールドホテル」と言うホテルを訪れるシニア世代の宿泊客達が自己の人生を振り返り再出発をすると言う映画が2年程前にあったが、本作の場合はあの映画のようにはいかない。
「光陰矢のごとし」人生に待ったなし!気が付いた時には、もう手遅れよ!と、時間を巻き戻せない、自己の幸せな人生の旅を飛行するのに乗り遅れない様にと警告する最終案内便といった感じの作品なのだろうか?
これでは5星は採点出来ない、2つ星映画ですね!世界の観光地を観ながら、5星の綺麗なホテルで撮影しているから、画的には何となく美しく風情は有るけれど、何だかハリボテの安い物のチープなセットの様な映画で残念!でも尺が短く救われて点は甘くしましたよ。