「クレしんでサイバーパンク」映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
クレしんでサイバーパンク
今作は父・ひろしが突如ロボットに改造され、ロボとーちゃんになってしまうというトンデモなストーリー。しかし、その根底には人とロボットの違いは何か?ロボットに感情はあるのか?といったサイバーパンク風のテーマが流れている。
ともすると哲学の域にも踏み込むこのテーマを子ども向けの映画で描くなんて無謀では?などという心配は全くの杞憂であった。物語を決して難解にせず、とことん楽しく描き、そして笑いのエッセンスを忘れず、確実に“クレヨンしんちゃん”の枠に収めた監督の手腕には脱帽させられる。
随所にブレードランナー、アイ・ロボット、マトリックス、そしてターミネーターなど、ロボットを扱った数々のSF映画へのオマージュを散りばめた演出はハリウッド映画で育った大人には嬉しい限り。そして、それらを見事に笑いに昇華してくれているのはさすがはしんちゃん!しかし、ラストのロボとーちゃんの姿(“あの名作”のオマージュ)とそこから導かれる結末に涙を堪えることはできなかった。
下ネタなど少々下品な演出もあるが、こんなことをファミリー映画で堂々と描けるのだってこのシリーズの特権だ。子どもから大人まで笑って、泣けて、楽しめるクレしん映画の面白さがたっぷり詰まった恐るべき傑作。
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