「オッさんだからこそ理解できる哀愁が胸を締め付ける…」映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
オッさんだからこそ理解できる哀愁が胸を締め付ける…
国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』の劇場版第22作。
突然ロボットへと改造されてしまったひろし。その裏には「父ゆれ同盟」という謎の組織の陰謀があった。
ロボとーちゃんとしんのすけが、「父ゆれ同盟」の思惑を挫くため立ち向かう。
久しぶりに「クレヨンしんちゃん」の劇場版を鑑賞しようと思い、評価の高い本作を観てみることにしました。
子供でもわかりやすいギャグと、オトナじゃないと理解できないんじゃないかというユーモアが入り混じる、とてもカオスなアニメ。
現代の哀しい父親像を描き出した後、父ひろしがロボットになってしまうという超展開から物語が展開していく。
前半から『クレヨンしんちゃん』らしいギャグが続き、良くも悪くもファミリー向け映画かなという印象だったが、後半になりロボひろしの正体が明らかになってからは、映画のカラーがぐっと変わる。
本物の父ひろしと、実は記憶をコピーされただけの人形だったロボひろし。
自らを本物だと言い張るロボひろしの哀愁に胸が痛みます。
ギャグパートはお馴染みのクレしんギャグといった具合でしたが、黒幕との最終決戦のバカバカしさはすごい!もはやギャグというより前衛芸術のようなわけのわからなさ。この為にコロッケが声優として参加していたのか…
この辺りは鬼才湯浅政明の仕業のようですね。やはりセンスが頭ひとつ抜けているというかなんというか…
ラストシーンのひろしVSロボひろしの腕相撲は涙無くしては見れない名シーン。
子を持つ父親ほど、このシーンは胸を締め付けられるのではないでしょうか?
前半に描かれている、しんのすけとロボひろしの腕相撲のシーンが伏線として機能しており、より感動を引き立てています。
クライマックスのコロッケロボと、ひろしVSロボひろしの場面があることで、全体としての映画のクオリティがググッと引き上げられていると思いました。
逆にいえば、ラストシーンまでは正直あまり盛り上がらないかなという印象。
しかし、子供であればしっかり笑える場面も多く、大人でも感動できる場面があるので、クレしん映画としては良い出来だと思います。
ただ、武井咲を声優として起用する為だけに作られた段々原というキャラはいらなかったかな…