沈黙(1963)
解説
「ポーランド映画祭2013」にて上映。
1963年製作/102分/ポーランド
原題または英題:Milczenie
スタッフ・キャスト
- 監督
- カジミェシュ・クッツ
- 原作
- イエジー・シュチギェウ
- 脚本
- カジミェシュ・クッツ
- イエジー・シュチギェウ
「ポーランド映画祭2013」にて上映。
1963年製作/102分/ポーランド
原題または英題:Milczenie
「ツインピークス」主演カイル・マクラクラン、「リンチ監督は私を創造した」と追悼文
2025年1月21日本木雅弘×小泉今日子「海の沈黙」1月20日から早くも見放題独占配信!
2025年1月20日あなたが好きな“謎解き映画”は? 映画.comユーザー&スタッフおすすめ20選
2025年1月19日【「オークション 盗まれたエゴン・シーレ」評論】実話にインスパイアされた現代の「金の斧」のような物語
2025年1月12日年内放送「サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと」に生天目仁美と諏訪部順一が出演 ティザーPVなども公開
2025年1月12日「SHOGUN 将軍」が米監督協会組合で最多タイ3ノミネート!
2025年1月9日 主人公の少年はよくしゃべるので、途中までこの「沈黙」というタイトルの意味が分からなかった。この少年が街の人々から非難される原因となった事件の当事者であるにもかかわらず、重要な人物が最後まで真相を口にすることはないのだ。
その沈黙の理由は宗教上の理由だったりするのだが、このこと自体はさほど映画の中で大きな意味を持っていないのではないかと思う。以下述べることを考えると、やはり鑑賞後には、なぜこの沈黙をタイトルにしたのかが、また分からなくなるのだ。
主人公の少年は事故で視力を失うが、その前に司教を脅したという事件によって、町の人々から同情を得られないばかりか、あからさまな無視や軽蔑といった扱いを受ける。
少年が治療中に着けていた眼帯は、瞳の部分を金属のメッシュで押さえられている。視力を失った現実を受け入れることへの恐怖から、眼帯を外すことを拒むのだが、蜂や蠅の複眼を思わせるこのプロテクターのようなものが彼の恐怖心を象徴する。
そして、ホームレスの男にも「虫みたいな眼」と蔑まされるのだが、少年はその自分自身の姿を見ることができない。この惨めで孤独な様相を、小道具一つで具体的に表象している。こうした表現が映画以外のどのような手段で可能だろうか。
観ていて辛くなる内容の作品である。ものごとの一面だけで人を判断して、差別したり蔑む愚かさではなく、その蔑みの対象となる人間の内面を映像化することに成功している。まさに映画の力を見せつける一本。