それでも夜は明けるのレビュー・感想・評価
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人はいかに人間を切り分けられるか
残酷さが容認された時の人間て本当に恐ろしい。
この映画は凄惨な事実を伝えているけれど、グロやエロがダメな人でも見られるラインをしっかり守っていて、重いテーマでも幅広い人に見てもらう為の配慮がしっかりとされています。
加えて、黒人白人と一括りにせずに、この時代のアメリカ南部のプランテーション下の環境とはいかなものだったのか。
この環境でどの様な立ち位置の人が生まれ、それぞれがそこにどう馴染んだり自分を守りながら生活していたのかが汲み取れる内容になっています。
人権が守られない場で、下の環境にいればいかに的にされずに耐えるかが生き延びる道になり、上にいれば良い振る舞いを全ての人にする事や自分の非道を理解する事もまた難しい事と感じます。
さまざまな人や状況があり、それを産み出す空気を見せてくれる。ただ被害者の立場で訴えるだけでも加害者の立場で話をすり替えるでもなくで、主人公の理知的な視点からアメリカの差別問題の複雑さと根幹が垣間見える映画じゃないかと思います。
とはいえ見たあとは悔しさで胸がいっぱいになりますねー
真面目になっちゃったので、あとは一言メモ
アメリカにおけるキリスト教の絶対感は本当に不思議だと思う。
ニガーが如何に禁句であるのかがよく分かる。
主役の人が大好きなキンキーブーツのローラちゃんだったのは嬉しみポイント。
奴隷
ブラッド・ピット、グッジョブ!
自由な北部と劣悪な南部が浮彫にされていた。ただし、奴隷制度が正当だった南部の価値観と本来の人間の姿などがはっきりと区別されている。もちろん、もっとも悪く描かれるのは悪徳奴隷商人たち。最初にソロモン(イジョフォー)と婦人イライザを買ったフォード(カンバーバッチ)は牧師もしているし、むしろよい白人で、その他にもブラピ演ずるバスや奴隷の仲間入りしたアームズビーなんかもユニークなキャラで登場する。
完璧な悪人がポール・ダノだったりマイケル・ファスベンダーなのですが、白人たちの善悪がはっきりさせるほど強烈に描いている割には黒人側の描き方が足りない気もします。主人公ソロモン(南部ではプラット)の目線ではあるものの、彼が首を吊られているときに、他の奴隷たちは見て見ぬふりを決めているし、彼にしてもパッツィ(ニョンゴ)の背を鞭で叩いていたりするのだ。同胞をいたぶる辛さも感じるけど、この辺りが納得できなかった・・・
今年観た『ハリエット』の方が自分の思想を曲げずに突っ走る感じでエンタメ性もあり感情を揺さぶる作品だったのに対し、こちらは文学的主観が邪魔している気もする。これもバイオリンも弾けるインテリだったためなのか、拉致された奴隷船での効果音+音楽が身震いするほど良かっただけに、南部での生活に訴えてくるものが感じられなかった。
せっかく自由人になったのに再び拉致され奴隷化させられるというプロットは実話だけに痛々しいものがありました。
それでも夜はまだ明けていない。
観ていて辛さしか出てこない
人はどこまでも残忍になれる 違う人生も選べる
奴隷
タイトルなし
1841年
南部の農園に売られた北部の自由黒人
ソロモン・ノーサップの12年間
その壮絶な生活を綴った伝記映画
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12年の時を経て身分を回復し帰郷
字の読み書きもでき教養が高いが奴隷時代はトラブルのもととなるため隠していた
その後伝記本を出版し奴隷解放運動にも携わるが晩年の動向は一切不明…
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監督スティーヴ・マックイーンが映画化
主人公はキウェテル・イジョフォー
選民主義者の農園支配人残酷なエップスを
マイケル・ファスペンダー
ベネディクト・カンバーバッチ ポール・ダノ
ブラッド・ピットと名俳優たちが顔を揃える
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幸せではない…それが普通の日常だった
黒人奴隷制度の時代
どうしてそこまで非情になれるのか
制度そのものに嫌悪感が募るばかり
それでも帰郷できたソロモンはまだよかった
廃止された後も続く対立や理不尽な差別
そのルーツと目を背けてはいけない現実
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第86回アカデミー賞
作品賞・脚色賞・助演女優賞 受賞作
痛々しい。
白人が頑張る黒人映画
アカデミー賞作品。いざ手にしてはみたものの、奴隷制度かぁ、重い話なんだろうなぁ、とまあ散々後回しの末、それでも気合い入れて見始めたら、冒頭から意外な入り方ですぐにのめり込んでいった。見せ方が上手いなあと。
黒人奴隷の話は他の映画で多々観てきましたが、その奴隷が奴隷になる前の話を描いた話はあまり無い気がする。(タランティーノの「ジャンゴ」はあったかな?)増してこの映画は実話ベースなのにその落差たるや悲惨そのもの。
意外と早くに奴隷になってしまって、その後は鬱屈した奴隷生活12年。全体の中で奴隷になっている時間が長すぎる気もしたが、この映画は奴隷の扱いの低さとか奴隷同士の交流とかがメインになっているので仕方ないとは思うが、終始鬱屈・・・。
ブラピがナイトになっているのは、いくら制作サイドにブラピがいるからといってちょっとおいし過ぎな気もする。この映画で素晴らしいと思うのは、黒人を虐げる役の白人を演じる勇気だと思う。その意味で”ビッグダディ”ファスベンダーは称賛に値する。カンバーバッチはちょっといい人過ぎる。あとポールダノはちょっと嫌な役でボコボコにされるんだけど、毎度毎度こんな役ばっかりで笑ってしまった。
最後のテロップで後味は一層悪くなります。覚悟して観てください。
見るのが辛くて苦しいのに最後まで見入ってしまった。奴隷制度のリアル...
人間は人間を奴隷にできる動物!!
人間は人間を奴隷にでき、相手に毒を植え付け続ける動物だと改めて分かり、苦しいです。私はブラック企業にいた事がありますが、拘束が非常に長く、職場はテレビと煙草浸け、新人は皆定着せず奴隷と奴隷長しか残らない様子でした。「おい新人」「俺が話している時は話すな」「口答えするな」「知恵を付けてきて反抗するようになってきた」等と言われ、経歴や怪我の事を毎日貶されて非常に辛い思いをしました。恫喝や八つ当たり、パシリも日常茶飯事です。このような状況下にいるど、自己肯定を失い、簡単な事も失敗するようになり、異性や音楽等への興味を失いました。休日も休まる事なく、翌日への恐怖に支配されました。まあ戦場では、このような上官ばかりで、死に追いやられるのでしょう。辛い経験は記憶から消したいですし、このような事は無数にあるでしょうが、逃げ場の無い地獄であり、歴史として語り継がねばならないのはこの映画なのだと思います。生まれながらの奴隷と自由黒人は違います(勿論生まれながらの奴隷を無視して良いという訳ではありません)が、自由黒人から奴隷に転落するプロットが、観客を大きく惹き付ける要素であったと思います。
壮絶、奴隷地獄。あまりのひどさに目を覆いたくなります。ただ忘れてな...
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