「奴隷制度を前提としたプランテーションというシステムが支える華やかな...」それでも夜は明ける supersilentさんの映画レビュー(感想・評価)
奴隷制度を前提としたプランテーションというシステムが支える華やかな...
奴隷制度を前提としたプランテーションというシステムが支える華やかな資本主義の繁栄。労働力として人間を家畜化するという、支配するものと支配されるものという構造が固定化した社会では、人間の道徳観までもが支配するものの論理だけで語られる。
人間というのは、白人であって、黒人はそもそも人間ですらないという価値観。そのような価値観で生きる白人社会では、宗教までもが白人の優越性を示す真理として利用される。
そして、そんな歪んだ社会をさらに複雑にしているのが、自由や権利を認められている自由黒人という人たちの存在。拉致された主人公が白人たちに訴えるのは、奴隷制度の本質的な誤りではなく、自分が自由黒人であるという弁明だけ。そこに普遍的な正義はなく、それでは救われない。
奴隷制度が、人間の黒歴史であることには疑問の余地はないけど、それは決して過去の出来事ではないのは明白。現代においてもヘイトや人種差別は存在しているばかりか、人を支配するための見せしめや恫喝、劣等感を隠すための優越性の誇示など、パワハラやいじめのような人間の愚かさを示す例は枚挙にいとまがない。人間はいつになったら過ちに気付くことができるのか。
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