「いまいち」超高速!参勤交代 Syuさんの映画レビュー(感想・評価)
いまいち
タイトルに超高速って有りますが、見終わってみて、全く高速感は有りませんでした。
貧乏だが真面目で民のことを考えている弱小藩である「湯長谷藩」藩主が、参勤交代を終えて自分の領土に帰ってきた途端、再度江戸に参勤交代に来るようにお達しがあったため、金をかけずに短期間で江戸まで行くため知恵を絞る、という内容です。
そこで藩としての体裁を守るため、役人のいる関所だけ人を雇って行列を作り、それ以外の宿場町には寄ることなく、少人数で山道を抜けて江戸まで行くという事になります。
加えて今回異例の参勤交代が行われた裏には、湯長谷藩の金山を狙う老中の企みがあり、道中で刺客に命を狙われます。
困難を乗り越えて、湯長谷藩は参勤交代を成し遂げることが出来るのか。というところにハラハラドキドキが有ると思うんですが、この通常有り得ない短期間で江戸まで行く事の困難さがあんまり伝わって来ません。重要な場所だけで姿を見せておいて、それ以外は走って江戸まで行きますという案が出て出発したところで、それで何とかなるんだって感じてしまいます。
また、藩主の閉所恐怖症なところや、腹話術。ペットの猿や家臣の性格等々面白くなりそうな設定はあるんですが、劇中で上手く使い切ってないな、と思います。
最後に全ては将軍が老中の悪事を明らかにするために仕組んだ事だった、みたいな下りが有りますけど、これは完全に意味不明です。
そもそも普通だったら絶対に不可能な参勤交代を命じている訳ですから、これが出来た暁には老中の悪事が明らかになるという計画は筋が通りません。また、それを成し遂げさせるために、なんらかの手助けをしている様子も無く、ただ相手がうまくやるのを待っているだけって言うのは、お話として有り得ないでしょう。
もう少し伏線とか思わせぶりな場面とか演出を上手に使えは、面白い映画になったかもな、って思いました。
最後の殺陣も完全に蛇足でしたね。映画として派手な場面が欲しかったんでしょうけど、まったくもって有り得ない展開でこれをやる違和感が半端ないです。
全体的にコメディ色はそれ程強くなく、予告や広告でそれを期待して見た人に取ってはちょっと物足りない感じがしてしまうかも。