「身を削った演技から発せられる、漲る“生”のドラマ!」ダラス・バイヤーズクラブ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
身を削った演技から発せられる、漲る“生”のドラマ!
まだエイズに差別や偏見があった時代。エイズで余命を宣告された男が、独自のルートで入手した未承認の特効薬を売りさばく“ダラス・バイヤーズクラブ”を立ち上げる。
今年のアカデミー賞で3部門(主演男優・助演男優・ヘアメイク)に輝いた話題作。
まずは、その演技に身震いする。
マシュー・マコノヒーとジャレッド・レト。
エイズ患者を演じる為に、共に大幅な減量。
マコノヒーはあのマッチョな体の面影も無い。
レトのあの足の細さを見よ!(加えてレトは性同一性障害者役でもあり、映画に不思議な華を添えると共に、儚さと哀しさも感じさせる)
本当に体が病んでいるとしか思えない。何処か恐ろしく、痛々しくもある。
文字通りの身を削った演技。
演技をするとは、こうも圧倒させられる事が出来るものなのか。
主人公ロンはろくでなしだ。
死の淵に立つまで、ドラッグ、アルコール、セックス。
気性は荒く、口も悪い。
そんな突っ張って生きてきたロンも、さすがに神に祈り、嗚咽する。
行き着く先は、死。
しかし彼は、生きるのを諦めない。
確かに未承認の薬を密輸・売りさばくのは違法。
が、病院が承認している薬は完璧な特効薬ではない。
薬は自分で選ぶ。
法が立ちはだかっても、強かに立ち向かう。
生きるのに、誰にも邪魔はさせない。
俺は自由気ままな生粋のカウボーイ。
エイズに感染した男の死を描いたドラマではない。
死の影につきまとわれながらも、漲るほどの生命力に執着した“生”のドラマ!
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