「2人の役者が素晴らしい」ダラス・バイヤーズクラブ Ranさんの映画レビュー(感想・評価)
2人の役者が素晴らしい
HIV感染により余命30日と宣告されたロデオカウボーイのロン。当時臨床試験中の治療薬AZTを服用するがAZTは免疫力を低下させる毒性の強いものだった。もっと安全性が高く効果のあるアメリカ未承認の治療薬ペプチドTを国外から密輸し、自ら服用するとともに「ダラスバイヤーズクラブ」を立ち上げビジネスパートナーのレイヨンとともに他のHIV患者に売りさばいて利益を得る。当初は営利目的だったが、ペプチドTにより多くの患者が救われていることを実感し、次第に患者への貢献へと意識を向けていく。
違法行為としてFDAに摘発され、その後法廷闘争にまで展開。ペプチドTの承認を訴えるロンだったが敗訴に終わる。しかしその後FDAはペプチドTの使用を認め、多くの患者に救いがもたらされた。ロン自身もロデオカウボーイとして復帰、余命宣告を受けてから7年後に生涯を閉じた。実話を元にした作品である。
「エイズはゲイの病気」というステレオタイプがはびこる1980年代当時。ロン自身はストレートでありながらその偏見にさらされ、それでも前向きに何とか生き延びようともがき続けるロンの退廃的でありながらも知的で野心に溢れる人間性を、マシュー•マコノヒーが完璧に演じていた。彼の演技の幅広さに改めて敬服。そしてロンのビジネスパートナーであったトランスジェンダーのレイヨンを、ジャレッド•レトがこれまた見事に演じている。ロンは女好きのストレートなのでレイヨンと恋に落ちることはなかったが、2人の間に築かれた友情は確かなものだったと思う。とにかく、終始マシュー•マコノヒーとジャレッド•レトの素晴らしい役者魂に魅せられた。
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