「メソッド演技の行きつく果て」ダラス・バイヤーズクラブ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
メソッド演技の行きつく果て
マシュー・マコノヒーは自然体で、まるで本当に存在するかのように演技している俳優さん。どの映画を見ても、自分を変えずに役を寄せてくる印象でした。
この映画では、大減量したらしく、げっそりとやつれていく病変振りを表現していて、役柄に説得力が生まれてはいます。
なので、いつもの彼のアプローチと違う映画だなと思いますが、それはそれ。
肝心の映画は、実話をベースに作ってあるためか単調で、見終わったあと、感動も、関心も生まれません。「へえ」とは思いますが、主人公がHIVに感染した経緯も、特に同情できる身の上でもなく、むしろ自業自得という言葉がぴったり当てはまる人物で、逆になぜこの無軌道な男に、ダラス・バイヤーズ・クラブを維持できるだけのエネルギーが生じたのか不思議にすら感じます。
やつれながらも、エネルギッシュな振る舞いを見せることができれば、減量の甲斐もあるのでしょうが、何の効果も生んでいないように感じます。
映画そのものは、米国社会が抱える、薬事法の矛盾点を暴いた問題作で、アカデミー賞のノミネートも受けたようですが、面白くない、平凡なお話で、退屈でした。
2016.9.14
コメントする