「やっぱりカレーには水が欲しいよなぁ」福福荘の福ちゃん スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱりカレーには水が欲しいよなぁ
独特な空気感にとても癒された作品でした。
まあ爆笑するような笑いとかではなかったですが、クスクス笑いしてしまうようなシーンがふんだんに盛り込まれていて、予想以上に楽しめましたね。
脇役に個性派曲者を揃えただけあって、マニアックな笑いが多く、好みは相当分かれそうですが、私は結構ツボに嵌って終始ニヤニヤしながら楽しんで見れました。
どこか昭和を感じさせるような、ノスタルジックな雰囲気漂う作風も好ポイント。
ほんのり幸せな気持ちにさせられる、なかなか味のある映画だったと思いましたよ。
しかし主人公の福ちゃんを演じた森三中の大島は、見事なおっさん演技を見せてくれましたね!
まあ正直予想したよりはおっさんっぽく無かったですけど、逆に女性らしい柔らかさがあったからこそ、福ちゃんの温かみがより伝わってきた気がして、これはこれで絶妙なキャラクターだったなと思いました。
微妙な訛り具合も味があって良かったぁ。
バカが付くほど心優しくいい人で、ホント彼の(彼女の)存在には癒されました、写真集に生きる勇気をもらった人がいたのも、物凄く説得力がありましたね、あの笑顔は本当に素晴らしかったです。
福ちゃんと福ちゃんの初恋の人である千穂の運命の交錯具合も、なかなか面白みのあるストーリー構成で、笑いあり、涙あり、まあ強引と言えば強引ですが、福ちゃんのピュアさ故に思わず感情移入させられました。
福ちゃんが女性恐怖症になったのは、あんな悲しい過去があったからだったんですね、あれは酷い・・・そして大島の演技が絶妙過ぎて、見ているこちらの涙腺も緩みました。
でもやっぱり初恋の人、その後の展開も、男ならよく分かると言うか、別に福ちゃんじゃなくても、水川あさみ級の女性だったら、それはねぇ・・・。
福ちゃんの親友役の荒川良々と千穂の親友役の平岩紙も、この作風に合った見事なザ・親友を演じていましたね。
この2人がいたからこそ、主役2人が引き立ったのではないかと。
他の脇役達も素晴らしかった、古舘寛治のこだわりのカレー店のエピソードとか、ツボ過ぎてまいりました!
徳永ゆうきの演歌にも癒されたなぁ。
そして北見敏之には、ただただ驚かされました、まさかあそこまで・・・。
まあ特別凄いことが起こる映画ではなかったですが、何気ない幸せを実感できる心温まる映画で、ほっこりとさせてもらいましたよ。