「おら、不良少女になっただ」ホットロード 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
おら、不良少女になっただ
母親の愛情に飢える孤独な少女と暴走族の不良青年の愛を描いた、80年代一世風靡した少女漫画の実写映画化。
原作は大変な人気だとか。そんな漫画がある事すら知らなかった…。
話題は、能年玲奈の不良少女役。
“じぇじぇじぇ”で定着した明るい天然のイメージを覆す、複雑な内面を抱える陰のある演技は新鮮だった。
だけど、鑑賞中から違和感が。見終わって原作の和希の画像をチェックして、確信した。
能年玲奈じゃ、いい子ちゃん過ぎる。
ウブな女の子が不良の世界に憧れ…という役柄だったら違和感無いんだけど、やっぱりどうしても不良少女に見えない。幾ら茶髪にして言葉遣いが荒くても…。
演技は悪くないけど、役柄が合わないという、何ともヘンな感じ。
春山を演じた登坂広臣は好演。
映画初出演らしいが、危なっぽさを感じさせる見た目とナイーブさを秘めた演技もなかなか。
三代目J Soul Brothersとやらには関心無いが。
監督は三木孝浩。
これが鑑賞の一番の理由。
青春ラブストーリーを撮らせて、今右に出る者は居ない。「ソラニン」「僕等がいた」、そして「陽だまりの彼女」なんて非常に良かった。
今作でも、江ノ島の美しい映像、等身大の瑞々しいストーリーなど、三木演出は健在。
しかし、雰囲気作りを重視するあまり、ドラマ性に深みが欠けた。
例えば、和希と春山はどのタイミングで恋に落ちたのか。気付いたら両者惹かれ合っていて、同棲してるし。
和希と木村佳乃演じる母親の母娘ドラマも然り。
不器用で上手く伝えられない愛、真っ直ぐで純粋な愛を経て、愛に飢えていた少女は愛を知る。
良作なんだろうけど、これまでの三木監督作ほど惹かれるものが無かった。
さて、「アオハライド」は?