「若者のすべて」ホットロード ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
若者のすべて
いや好きですね、この映画。
めっちゃ青春してるじゃないですか。何より雰囲気が良いんですよ。全体的に薄青を基調としてるというか。濃い青より、淡い青というか。映画全体を包む色合い、作風が気に入りました。
打ち明けますと、自分、この原作には正直疎いんですよね。存在は知ってましたけど、自分より世代が上の漫画なんですよ。でも、まあこの感じはよく分かります。分かるというか、ああ、漫画が原作なんだなあ、て。
何て言うんでしょう。こう、あの80年代、90年代初頭辺りで見られた少女漫画的な展開というか。素行の宜しくない子が親友だったり、ヤンキーや暴走族の描写だったり、恋愛に発展するプロセスだったりがモロにテンプレというかね。
で、それを恥ずかしげもなく堂々と真っ正面から描いてるでしょ。嘘が無くて、凄く正直で良いと思ったんです。下手にアレンジなんてする必要ないんですよね(実際はどういう風に手が加わってるのか知りませんけど)。それに、無理矢理で現代に置き換えたって辻褄が合わないでしょうしね。スマホなんて出されたら成立しないし。
でもそうした諸々を良い方向に持って行った、全体的な雰囲気を損なわぬまま見事に物語を運んでくれたのは主演の能年玲奈ちゃんですよね。彼女が主演だったからこそ成功したと言っても大袈裟じゃないというか。これがシャキシャキとした鋭い眼差しのクールな女優さんだったら上手くいかなかったんじゃないかなと。能年ちゃんのぽわんぽわんした演技が、この独特の空気感を生みだしたんじゃないかなと。
相手役の登坂広臣くんも演技経験なかったらしいですけど、頑張ってたと思います。能年ちゃんと相性が良かったんでしょうね。
みずみずしい空気感でした。