「ドリーの周りはいいやつばかりすぎる」ファインディング・ドリー SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
ドリーの周りはいいやつばかりすぎる
ドリーというのは、ある種の学習障害や軽めの障害持ちの代表だと思う。
そういった人間がどういう風に世の中を見ているのか、かなり真にせまってくるものがある。
泣き所は、いよいよドリーが完全に一人ぼっちになって、どうしたらいいかパニックになりかけるところ
1つ1つ、「できること」を思い起こして、劇的な両親との再会につながる。
ここは本当に泣ける。両親の愛を瞬時に理解できるところもいい。
この後の展開は個人的には蛇足で、なかった方が良かったと思う。
ちょっとこの世界観にはまりこめなかったところとしては、
魚たちの計画があまりに無茶で無謀なのに、うまくいきすぎてる感じがあって…。
もちろん子供向けの映画だと理解してるつもりだけど、それでもストーリーの無理矢理感が気になった。
同じ脱出劇でも、例えばトイストーリーはもう少し納得感があったように思う。
もしかしたら、水族館が舞台だったため、現実の世界とCGアニメの世界がうまく頭の中で区別できなかったからかも。
ストーリーとして気になったのは、ドリーの知人があまりにいい人ばかりだということ。
実際には、軽い障害持ちというのは、重い障害をもっている人よりも、むしろうまく社会生活を送ることが難しいというところがあるはず。
身近な人の方が障害に対する苛立ちがむしろ大きい、というのはありそうだ。しかし、この物語では、ドリーの周りはまるで道徳のお手本みたいな人しかでてこない。
その意味で、この物語が現実に与えるインパクトというのは非常に弱くなってしまった。軽い障害持ちにとっては、身近な人とのコミュニケーションの方がずっと重要な問題のはずだ。
その辺を掘り下げたら、もっと深い話になったんではないかと思う。
追記
ドリーの赤ちゃんの時の声は超絶かわいい
舌ったらずな感じで、本当に赤ちゃんてこんな話し方だよなー、と
日本の声優では、赤ちゃんがこんな風に話すテクニックはないと思う