インサイド・ヘッド : インタビュー
竹内結子&大竹しのぶ「インサイド・ヘッド」声優参加で得た“気づき”
アカデミー賞長編アニメ賞に輝く「カールじいさんの空飛ぶ家」のピート・ドクター監督がメガホンをとったディズニー/ピクサー最新作「インサイド・ヘッド」が、7月18日に日本公開を迎える。同作で日本語吹き替え声優を務めた竹内結子と大竹しのぶが、それぞれが演じたアフレコ時の様子や、作品によって気づかされたことを語った。(取材・文/編集部、写真/堀弥生)
「インサイド・ヘッド」は、11歳の少女ライリーの頭の中を舞台にした冒険ファンタジー。ライリーの頭の中にいる5つの感情、ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミが思わぬ騒動に巻き込まれたことから、ライリーの精神状態が不安定になり、新生活がトラブルに見舞われていくさまと、ヨロコビとカナシミが司令部に戻るべく繰り広げる大冒険が描かれる。同作で、竹内は「喜び」の感情をつかさどるヨロコビ役、大竹は「悲しみ」をつかさどるカナシミ役を演じる。
アフレコはそれぞれ別で収録されたそうだが、完成版を一緒に鑑賞したというふたりは、「ほっとした、という気持ちが大きかったです。収録時には自分の目の前のことだけに集中していたので、試写でひとつの作品として見た時に、こんないい部分もあったんだ、こういう意味合いがあったんだって全部を引いて見られたんです。ああ、出来上がってる、ひと仕事やっと終わったんだ。ああ、よかったと思って、大竹さんの顔を見たら泣けました」(竹内)、「ああ、いい映画に出てたんだぁ、これはいい映画なんだって思いました」(大竹)と、完成した作品に大満足したと語る。
さらに大竹は、アニメーション声優に初挑戦した竹内を「あのセリフの量をあの音量で、しかもわかりやすく言わなきゃいけないっていうのは、すごく気持ちも技術もいることなので、本当に拍手を送りました」と称賛した。
竹内は、ヨロコビを「ハイテンションで、感情がめまぐるしく変わっていく忙しい子」と表現。「活発な動きと同時にとにかくおしゃべり好きで。それを日本語に置き換えると、(そこからさらに)文字数が増える。でも口の動きは変わらないから、そこに収めないといけない。(アフレコを終えて)滑舌鍛えられたな!と思いましたね(笑)。(普段の演技と違って)体で表現できない状態で、声だけでジェットコースターみたいな性格を出すって大変だなと思いました」と、声優ならではの苦労を振り返る。
一方、宮崎駿監督の「風立ちぬ」(2013)などで声優経験を持つ大竹は、「私が演じたカナシミは、結子ちゃんがワーッて言った後に、『で、でもぉ……』とつぶやくだけなので、すごく楽でした」とおどけつつも、「自分が考えていたほど声で表現できていないと感じた時は、『もう1回やってもいいですか?』とお願いしました」と、女優魂を感じられるエピソードを明かした。
思いがけず、コンビを組んで大冒険に挑むことになるヨコロビとカナシミだが、竹内は「私は大竹さんの声を聞いていて、“優しさ”ってこういう感じなんだなって思いました」と印象を明かす。
「ヨロコビ自体は『キャーキャー』やっていますけど、前しか見ていない分、後ろで何が起きているかをちゃんと拾ってくれるのがカナシミで、やっぱりいないとだめだなぁと思った」と言う竹内に、すかさず大竹が「でも、引っ張ってくれるのがヨロコビで(笑)」と言葉を重ねる。「(ズルズル引きずられていくシーンが)好きです。『いい気持ち……』って言うんです」(大竹)。
それぞれの好きなシーンについては、竹内はライリーの空想を実体化した“イマジネーション・ランド”と呼ばれるエリアでの冒険を挙げ、「自由なゾーンって、(大人になっても頭の中で)ずっと持っていていいんだなって。私も、色々なことを自分の中で楽しむ空間を持っていたい」と気づかされたことを明かす。
大竹は「最初にライリーが生まれた時、ヨコロビがパンッて『私はヨコロビ!』って現れるところは、本当に最初のシーンなんですけど、人は喜びを持って生まれてきたんだって(気づかされて)まず感動します」と明かし、「(物語を通して)ライリーが、家族と(今までと)違った関係で近しくなる。みんなそれぞれ感情があって、そんな3人でできている家族が素敵だなと思います」と、変化を迎えた少女とその両親の関係性がお気に入りだと語った。