「バッヂは希望の種」トゥモローランド REXさんの映画レビュー(感想・評価)
バッヂは希望の種
爪の甘さや説得力に欠ける点がとにかく多い が、ラストはいい。
結局人間ていうのは、自分が死んだあとも人の営みはずっと続いていくことを望むというか、命が繋いでいくことを強く願っているんだよね。
個人的にこういうラストに弱いんだよねぇ。色々な世界の人間が、同じ志を持ち前へ進むという、希望の持たせ方が。
繰り返すが突っ込みどころは多い。 フランクの罠だらけの屋敷や、パリへの瞬間移動は楽しいけれど、スモールワールドの入口は一体どこへ行った?とか、エッフェル塔のロケットはエッフェルらが使った後、誰が再建したのか? とか。あれが未使用なのなら、エッフェルやジュールらはどうやってトゥモローランドに行ったのか?とか。
トゥモローランドの社会構造はどうなっているのか?とか。 選ばれた人間たちが子供を作ったら自動的に永住していいのか?とか。 老化防止薬があるのに人口密度は大丈夫なの?とか。
じゃあジュールやエッフェルや、ディズニーも生きてておかしくないよね?とか、とか(笑)
禁断のマシンを作ったことでフランクを追放したのに、トゥモローランド側(ニックス) はそれを壊すどころか利用していて、それでいて「未来を変えたい」という彼を殺そうとするなんて、なんだかスッキリしない。絶望してるのはわかってるんだけどさ、やってみりゃいいじゃん。
ニュートンが選ばれた根拠も弱いといえば弱い気もするが、まあ彼女の場合、NASAの基地に忍び込んで妨害工作をする高校生なんて中々いないだろうし、あの気の強さも生命力の強さと受け取れるし、アテナが出会ったなかでは最高の頭脳と勇気を持った若者なんだろうと解釈して、深く考えないほうがいいと思った(笑)
それに、映画やドラマで暗い暗い話ばかり繰り返すと、本当に悲壮感や厭世感が漂ってしまうんだよ、というメッ セージを強く発信する、こういう映画がたまにはあってもいい。
ディズニーの予定調和なハッピーエンドに鼻白むこともあるが、それでも、そういう映画を作り続ける会社が一つはないと困るよね…と思うのだ。
フランクの父親のように、夢見る力を否定する人間は嫌い。たとえその人の努力が実を結ばなくても、たとえ世の中の役に立たず自己満足に終わったとしても、後悔せずに生きている人のオーラは周りにもいい影響を与えるんだよ。
子供向けだけど、大人も自分を振り返るいいきっかけになる映画だと思う。