「はまる人はとことんはまる今泉ワールドの決定版」サッドティー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
はまる人はとことんはまる今泉ワールドの決定版
人生や人間関係はぐるぐると巡る。全ては数珠のようにつながっていき、誰かの誰かは私の大切な誰かだったりもする。そんな日常の取るに足らない偶然や奇跡を、決して特別なものとは思わせない半径2m、リビング7畳分くらいの守備範囲で描き出すのが今泉ワールドの魅力だ。本作でもワークショップで発掘したと思しき、初めて見るような、しかしここでしか見ることのできない特別な存在感を持った俳優たちが次々顔を出す。そして数珠つなぎに世界は繋がっていく。
「こっぴどい猫」とも似た構造も受けるが、実質的にはこちらはもっとささやかで、むしろ撮影以外の編集やデザインを掛け合わせることによって得難いアウトプットの形が出来上がっているように思える。普通の監督なら90分ほどで描きそうなストーリーをあえて2時間でみっちりやるところも特徴的。そのプラス30分こそが、役者と役者の間で拡張されたマジックアワーのような気がしてならない。
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