「貧困でない笑顔。」鉄くず拾いの物語 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
貧困でない笑顔。
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2013年のベルリン国際映画祭で、見事3冠に輝いた作品。
D・タノヴィッチが、母国ボスニアの新聞記事を目にして
その怒りを原動力に撮りあげたという渾身の一作。
出演する夫婦が当事者というドキュメンタリーでもある。
鉄くず拾いとは何ぞや?と思えば、生活の為に車を解体し、
その鉄材を売って生計を立てている人々のことだった。
いかにもな映像のその先に見えるのは、彼らがロマ族である
という意図した差別があり、それによって治療拒否される
(保険証がないから高額費用が払えない)といった酷い現実。
貧しいながらも誰に迷惑をかけるでもなく、静かに暮らす
彼らの生命を脅かす権利など果たしてあるのだろうか?と、
安穏と日本で暮らす自分には衝撃映像であったが、逆に
彼らの幸せな笑顔には一体どちらが貧困か?と唸らされた。
それにしても、大事な交通手段である車を壊してしまったら
どうするんだ?この先。と心配で堪らなかったのだが、
彼らは今作の受賞で保険証と夫の定職を手に入れたらしい。
良かった、家族の為にこれからも頑張れ。ナジフ!
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