「愛妻家の冷えた手」鉄くず拾いの物語 everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
愛妻家の冷えた手
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出来ることをひとつひとつ淡々とこなしていく、愛妻家の夫の背中をホームビデオで追うようなドキュメンタリー映画です。
金を払わなければ手術はしない、どんな理由があれ電気は止める…。(手術は自費で、日本円にして6万円ほどです。)
単に貧困に喘ぐ家庭の話と思って観ていましたが、ロマ族への凄まじい差別の一片として認識すると、複雑な現実のように思えました。戦時中のほうがマシだったという言葉に、日々の静かな辛さが伝わって来ました。
素手で車の窓ガラスに積もった氷雪を拭き、息で手を温めながら蒔きを割り、雪山から鉄くずを探し出す夫の手の冷たさ。手が冷たいわ、と振り払う妻の言葉に、幸せそうな笑みで回復中の妻の肩に寄りかかる夫。妻を想ってその手は凍っているのです。
元気でやんちゃな姉妹が可愛いです。次女?のSandraは常に目をくるくるさせて楽しそう。でも流石にママがオペ中の時だけその大きな瞳が不安げでした。
大雪と、ご近所・親戚・家庭の温かさが対照的でした。この温もりと笑顔に希望を託したいです。
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