「青春のほとり。」ほとりの朔子 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
青春のほとり。
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この作品で、ごくごく普通の二階堂ふみに出逢えた気がする。
主人公・朔子の性格もそうなのだろうが、どこかホワンとして
いて柔らかい。どこにもまだ属していない18歳の頃の女子を
自然体で演じているのが好ましい。過去の作品で、
アバンギャルドな彼女しか観たことがない人にお薦めの作品。
大学受験に失敗した朔子は叔母の海希江と共に、旅行で留守に
する伯母・水帆の家で夏の終わりの2週間を過ごすことになる。
とりたてて事件など起こらないその期間、周囲で波立つ大人達の
恋愛や争いを傍観しながら、朔子は福島から避難してきた高校生
の孝史と距離を縮めていくのだったが…。
川のほとりに立ち、小石を投げいれると波紋が広がるのを利用し、
一見静かな水面でもその水面下では様々な葛藤が繰り広げられて
いることを示唆する巧い演出。あからさまに本音を言え(わ)ない
日本人ならではの心の叫びが、孝史の演説から強く伝わってくる。
これからの人生で、なにを由とするかは、彼らの選択次第なのだ。
がんばれ、18歳。
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