「Do you think it's worth it?ジョージ・クルーニー&フレンズの一風変わった戦争映画」ミケランジェロ・プロジェクト アキ爺さんの映画レビュー(感想・評価)
Do you think it's worth it?ジョージ・クルーニー&フレンズの一風変わった戦争映画
もともとジョージ・クルーニーが今までとは違うテイストの戦争映画を撮りたいという発想から始まったこの作品、確かに第二次世界大戦を舞台のわりに戦闘シーンのあまりない珍しい作品に仕上がっております。
ヒットラーの個人的趣味?で「総統美術館」を作るといった野望の為に戦地からかき集められる美術品達。それを奪還すべくジョージ・クルーニー扮するストークスが仲間と共に立ち上がるストーリーなのですが、芸術に関して思い入れがあるかどうかでこの映画の評価は随分と変わってくるのではないでしょうか?個人的には楽しめましたが、途中「ネロ命令」によって美術品が焼かれるシーンで「うっわ~」と感じるかどうかがこの映画を楽しめるかどうかの分かれ目かなっと思います。
キャストはジョージ・クルーニー自身が監督ということもあり、仲良くしている俳優を中心に集められていてジョージ・クルーニーの人望が伺えます。マット・デイモンにいたってはいきなり脚本を送り付けたとか。人気俳優とはいえ兄貴のいう事には逆らえないようです(?)。ケイト・ブランシェットはさすがの貫禄でした。役柄とはいえフランス語訛りの英語が喋れるって凄い。マット・デイモンと1歳しか違わないのに既に大御所感が漂っています。ビル・マーレイ、ジョン・グットマン等のシルバー世代も頑張っていましたね。
物語の終盤ストークスが問いかけられます。「たかだか絵の為に人の命をかける価値はあるのか」と。ステレオタイプの軍部の人間には美術品の価値がわからない。でも皮肉な事にヒットラーはその価値がわかっていた。もちろんストークスもその価値を知っている。確かにこれは価値感の違いという悩ましい問題ですが、芸術の価値がわかる人間が命をかけても残してくれたからこそ今の世代を生きる私たちが触れる事ができる。久しぶりに美術館に行きたくなる、そんな作品でした。