「ハリウッド版「七人のおたく(1992)」」ミケランジェロ・プロジェクト さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド版「七人のおたく(1992)」
本作は今年の4月に公開予定だったのが、理由は分かりませんが延期→中止となっていました。やっと公開されるようです。
さて内容ですが、第二次世界大戦時、ヒットラーが世界中の芸術品を集めて(略奪して)いたのは、ご存知の方も多いと思います。
また、ドイツが負けそうになったら、「それらを全部爆破してしまえ!」と命令していたことも。実際コレクションの傍で、大量の爆弾が見つかってるんですよね。
原題の「Monuments Men(モニュメンツ・メン)」は、第二次世界大戦末期から戦後まで活躍した、連合軍の特殊部隊MFA&Aです。モニュメンツとは「記念建造物」というような意味になるかと思います。本作は事実を元にした、アクションコメディですね。
第二次世界大戦末期、連合軍に押されたドイツ軍は、歴史的価値のある建造物を壊しながら後退し、また略奪した芸術品(絵画・公文書)を燃やそうとしていました。特殊部隊はそれを阻止し、その芸術品を取り返すのが任務でした。
ハーバード大学付属美術館・館長ストークス(ジョージ・クルーニー)は、ナチスの蛮行を危惧し、このチームを結成します。
メンバーは中世美術が専門のグレンジャー(マット・デイモン)、建築家キャンベル(ビル・マーレイ)、彫刻家ウォルター(ジョン・グットマン)など。
ジョージ・クルニー曰く「大脱走」的なエンタメとのことですが、またケイト・ブランシェット演じる名画の行方を知る女性は、ローズ・ヴァランがモデルのようなので、ならば映画好きの皆さんは直ぐに「大列車作戦」を思い出されると思います。
しかし私的には、どう考えても「七人のおたく(1992)」です。だって本作の登場人物って全員おたくだもの(しかもメンバー7人だし)。あの時は子供を奪い返すのがミッションでしたが、本作はそれが芸術品なだけです。って言ったら、怒られるでしょうか(笑)すみません。
ミケランジェロとタイトルにありますが、登場する作品の数は、フェルメールや、レンブラントが上回っています。
確かにミケランジェロの作品が印象的なシーンに登場しますが、インパクトではダビンチの方が上回っています。このタイトル、なんとなくゴロでつけられてる気がします。ミケランジェロ作品満載と思われると、ちょっと違います。
それにしても、映画を観ていて「おい、おい、何すんだよ!」って叫んだのは本作が初めてです。
ナチスの蛮行には、かなり衝撃を受けました。あの時に失われた名画は、どれだけあったのだろうか……。
また、何故ヒットラーがこんなに芸術品を略奪し、またそれを破壊しようとしたか。そのメンタルな部分には迫りません。てか登場しません。
そこは最近は珍しい、アンタッチャブル(1987年)的な勧善懲悪な世界です。そこをすかっとするか、物足りなく思うかはお好みかと思われます。
※どうでもいいですが、ケイト・ブランシェットの吹き替えが工藤静香さんであることに、先ほど気付きました。うーむ。