劇場公開日 1984年3月11日

「お願い!殺さないで!」風の谷のナウシカ 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5お願い!殺さないで!

2020年8月9日
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 たとえば、海老。あれ、海に住む蟲ですね。私達は、蟲の命を、おいしく頂いております。そんな私達が、目に見えない生物のようなものに、命を脅かされております。これも定めですかね。
 ヒトは他者と共生しません。傷つけあうのみ。たとえば、何処かの国の将軍様が、大陸間弾道巨神兵を手に入れたら、何をすると思いますか?。
 それでも、ヒトは、刻を刻む。何の為に?。おそらくその答えに、ヒトが達することはないでしょう。それでもヒトは息をする。生存を望む。何の為に?。死にたくないから。殺されたくないから。その為には、腐海だろうと、ウイルスだろうと、駆逐する。ついでに、自分と意志のそぐわないヒトも…。結果、生物兵器を使用する。生態系も破壊する。挙げ句、私達は、何を受けとればいい?。

 本作が公開されて随分経ちますが、まだまだ、世界は、平和ではありません。むしろ分断と対立が、進行しているようです。5分で肺が腐ることはなくても、ワクチン欲しさに、争奪戦です。
 さて、水と風が、100年かけて育てた森を横目に、皆様の裡に棲む巨神兵は、何を焼き払います?。何を望みます?。

 とどのつまり、我、蟲愛づる姫に非ず。寧ろ、怒りと憎しみに、我を忘れた双頭の毒蛇の娘。それでも何かを望んでしまうわけです。その何かを見つけるだけの時間、あるのかな…。
 本作の良さは、皆様に託します。私が注目するのは、ラストの一枚。エンドロールのそのまたラスト。おわりの文字と共に出る絵です。
 腐海の森の奥深く、ひっそり芽生えた、あれです。あれから3分の1世紀です。あれ、どうなっていると思います?。
 皆様の心に蒔かれた種子が、健やかに育つことを、祈ります。そして、長靴いっぱいの実ができたら、アスベルに食べてもらいたいですね。

機動戦士・チャングム