「「闘い方」 を教えてくれる。超一級のエンターテインメント!!」風の谷のナウシカ CBさんの映画レビュー(感想・評価)
「闘い方」 を教えてくれる。超一級のエンターテインメント!!
くう〜、素晴らしい‼︎
その素晴らしさをあらためて言う必要もないだろうから、勝手なことを書こう。
作品冒頭で、ユパが、ナウシカが動物たちとすぐに仲良くなるのをみて、「不思議な力だ」 とつぶやく。
“不思議な力“ か。俺には、本作を通して、ナウシカが “闘い方” を教えてくれているように思う。
父の命を奪ったトルメキア兵士たちを多数倒したときが “闘い” だろうか。 「わしらだってもちろん火を使う。じゃが、多すぎる火はよくない。わしらは、風と水の方が好きじゃ」 という老人たちのセリフ、「走り出したらもう止まれない。トルメキア(王国)と同じだ」 というペジテ王のセリフ、地下でナウシカがずっと続けていた実験、王蟲(オーム)はじめ腐海の生き物たちに対してナウシカがとる態度・・・。“闘い“ とはなんだろう。なにと ”闘う“ ために、どんな姿勢をとるべきなのか。そういうことを、切々と語っている映画のように感じる。
「アニメージュ」 に連載された原作の方が深くて好きだ、という声も多く聞く。たしかに、ストーリーはさらに深くて広いのだから。
ただ、ジブリがここまで成功した原因のひとつは、やはりこの第一作を、エンターテインメント感多めで作ったことにあると思う。
一級品のエンターテインメント、迫りくる王蟲(オーム)、雷雲の中での飛行船の闘い、勇ましく風を切り裂くガンシップと、軽やかに風に乗るメーヴェ...
あらためてみると、本作はエンターテインメント的なシーンであり映像が多いことにあらためて気づく。そしてこのバランスが、多くの人の心を打ったからこそ、その後、次々と出されるジブリ作品は、徐々に表現を広げていくことができ、壮大な、幅広いジブリワールドを構築することになる。日本映画界に、まさに “ジブリ”(サハラ砂漠に吹く熱風)を吹き起こしたのだ。
先日、2001年公開の 「千と千尋の神隠し」 を観たばかりなので、1984年公開の 「風の谷のナウシカ」 は、(冒頭場面が、”胞子うずまく腐海” の描写から入るせいもあって)絵はわずかに粗く感じる。
というか、1984 → 2001 という17年間での技術の進化に感動する。本作 「ナウシカ」 では、人の腕だけでよくぞここまで、という凄さであり、「千と千尋...」 では、人の腕とCGを最適に組み合わせることで、ここまで創造的な世界を作り上げることができる、という凄さだ。特に、”光”。すごいよ・・・
「千と千尋...」 のレビューでも書いたが、そのことは、いま、劇場のスクリーンであらためて味わいたい感動だ。みなさん、「ジブリが多数、劇場にかかっている」 というこのチャンスを逃す手はないですよ!!
そして最後に、スクリーンで観てもラストシーンは、やはり泣ける。「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし・・」 ああ、こういうことだったのかと、心の底から振り絞られるババ様の台詞に泣かされる!
追伸
ああ、これが “風の谷”、「シン・ニホン」 に描かれる、”これから日本がめざすべきひとつの姿” の原点だったのだなあ・・・
この日本にも、「よい風が吹きますように」
2021/8/15 追記
いろいろな評価を読んだ。下記は引用だが「なるほどなあ」と思わされた。
鈴木プロデューサー「(風の谷のナウシカのストーリーは)宮さんの実力から言えば30点。宮さんはただの演出ではなく作家なんですから。(中略)『巨大産業文明の崩壊後千年という未来から現代を照らし返してもらいたい』とおもっていたんですが、映画は必ずしもそういうふうになったとはいえないのではないか」(文芸春秋社『ジブリの教科書1』から)
「ラストでナウシカの自己犠牲で王蟲たちの突進が止まり、あろうことか謎の力で復活してしまうところを宮崎は「宗教になってしまった」と後悔している」(同上)
「宗教になった」とは安易な救済という文脈だろう。そして、この映画に圧倒的なカタルシスを感じる自分も、30点なんだな、と思う。だからと言ってこの映画にこの時点で感じた評点が変わるわけではない。
自分がその時点でそう感じたことは大切なことで、その時点より自分がもう少し考えるようになっていると自分でわかることも大切なこと。映画には、いろいろあった方がいいとあらためて思う。それをいろいろ観ていろいろ考える、それが俺自身のロードムービーなんだろうな…
CBさん、お久しぶりです。
共感とコメントをありがとうございました。
ホビットです(´∀`)
そうなんですよ、見えない風を感じて。
宮崎アニメはよく飛びますが、この作品はとりわけ風を感じます😊
CB さんコメントありがとうございました。実は私はカクヨム小説家になりました。ミステリー7位。評論2位3位、詩集9位、13位です。木村れい、でやってます。
コメントありがとうございます!
本作は「エンターテイメントであらねばならない」使命を背負って生まれた映画でしたからね。
無理矢理、クライマックスに仕立てた王蟲暴走→ナウシカ飛ばされる、の展開が無理過ぎて(汗)
元トップクラフト(ジブリのベースとなった会社)の人によると、当時「宮崎&高畑が在籍したアニメスタジオはダメになる」と言われていて、ナウシカ大ヒットのあともその評判は消えなかったそうですね。
宮崎駿を核にアニメ事業展開を仕掛けたかった徳間としては、宮崎自身が采配出来る拠点(ジブリ)が不可欠だと考えたのでしょう。
でも、ジブリも徳間に吸収合併されたり、宮崎氏が引退したり、復帰したり、分割したり、独立したり、有限会社になったり、株式会社になったりで「ジブリ作品」というカテゴリーで括るのは違うと思い、ジブリというラベルを外して、1作品1作品フラットな気持ちで観なきゃなぁ、と心がけているのですが、なかなか難しい。
ついつい「ジブリ映画」という先入観を抱いてしまいがちになります(苦笑)
この映画が公開されたとき友達に誘われて行きました。予備知識なく、ナウシカという種類の鹿がテーマのドキュメンタリー映画だと思ってました。始まったらアニメなんだ、と思い、でもいつまでたっても鹿が出てこない、変だなと。少女の名前がナウシカだと分かったのはだいぶ後でした。それでその子は少女の顔なのに、胸がやたら大きくて釣り合いがとれてないな、とそればかり気になってるうちに映画は終わってしまった…。それ以来、アニメは用心して見るようになりました。何に用心してるのかよくわかりませんが。