「いろいろと考えさせられる映画」風の谷のナウシカ 臥龍さんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろと考えさせられる映画
TOHOシネマズやイオンシネマで、過去のジブリ作品の再上映が行われていたので、観に行ってきました。『ナウシカ』や『ラピュタ』はテレビでは見たことがあったのですが、ぜひ映画館で観たいと思っていたので、TOHO系やイオン系の『一生に一度は映画館でジブリを』企画は本当に助かりました。
個人的に『ナウシカ』は『ラピュタ』と比べると、やや面白みに欠けるという印象だったのですが、映画館で見たからか、年齢を重ねたからか、すごく楽しめました。
人類が科学の発展と引き換えに引き起こした深刻な環境破壊。それが人類の生存をも脅かすという皮肉。そして、その環境破壊に抵抗しようとすればするほど、人類に牙をむき、猛烈な勢いで人類を飲み込んでいく自然界。
ある意味、環境破壊の被害者である自然界による加害者・人類に対する報復ともいえる構図。
そして、人類に猛威を振るう自然界に対抗しようとした勢力とは対照的に、自然と共に生き、活かし活かされる道を選んだ風の谷の人々とナウシカ。結果的に襲い掛かる自然の猛威から人類を救ったのはナウシカでした。
『自然は克服するものではなく、互いに共存共栄していくもの。自然を蔑ろにすれば、それが回り回って人類に実害をもたらし、自然を大切にすれば、自然は人類に生きるために必要なすべてを与えてくれる』。全体を通して自分はこの映画からそんなメッセージを感じました。
実際こんなことが起こるとは思いませんが、大気汚染や水質汚染が様々な病気を引き起こし、森林破壊や大気汚染が前代未聞の水害をもたらす昨今の事情と併せて、改めていろいろと考えさせられた映画でした。
10年ぶりくらいに観て、最後のシーン以外はあまり印象に残ってなかったのですが、全体的に要所要所に見どころがあって、メリハリもあって面白かったです。
宮崎監督にはもうこの頃の創造性が失われてしまっているのかもしれませんが、まだ創作意欲はあるみたいなので、もう一度原点に立ち返って、もうひと花咲かせて欲しいですね。