「脚光を浴びない人生の中にある煌めき。」LIFE! image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
脚光を浴びない人生の中にある煌めき。
前半は特に妄想の中でふざけている感じが強いが…後半に向かうに従いそんなテイストはどんどん薄まっていく。オーディエンスからは割と高評価を受けながらも、批評家の評価は賛否両論で賞レースからは倦厭されたらしいが…脚光を浴びることはなくても日常を地道に頑張って生きる人々を励ます力を孕んだ名作だ。
確かに筋書きはご都合主義的で大人の童話という感じだが…私はこの物語がとても好きになった。何よりも素晴らしいのはその語り口。大袈裟に感動を煽ることもなく、淡々とした映像の中に美しい風景を織り込み、人生の苦境の中に迷い込んだ男が、時に自分の空想の中に逃げ込みつつも、少しずつ自分の人生に起きていることを受け止めて行く。「前向き」ということを殊更に強調することもなく、迷ったり凹んだりしながら生きることの肯定、日の目を見なくてもささやかな人生の煌めきを享受していくことの大切さを、この作品を見るたびに思い出す。私にとってはかけがえのない作品になった。
「美しいものは注目を嫌う」というショーン・オコンネルのセリフと、これを伏線としたラストシーンを目の当たりにすると、生において本当に美しいものがどういうものかを考え直さずにはいられないだろう。
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