「お母さん、ありがとう!って素直に感謝を伝えたい気持ちになる映画だよな~」あなたを抱きしめる日まで Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
お母さん、ありがとう!って素直に感謝を伝えたい気持ちになる映画だよな~
今年のアカデミー賞候補作品や、最近の映画は何故か実話を基に描いているといった作品が非常に多く目立って来ている様に思う。
正に人間が頭で創り出した嘘の話より、現実の人生の方がリアルでよりドラマチックで見応え充分にあると言う事の表れなのだろうか?
時代は何か、生身の人間が日々経験した本当の生活感の有る出来事の方が、理想の生き方を描いた感動巨編より、遥かに共感を憶え、感情移入出来ると言う心境にシフトしてきているのではないだろうか?
本作「あなたを抱きしめる日まで」を観ても、これがアイルランドで現実に有った話だとはとても信じられないショッキングな出来事だ。
特に、このラストシーンでは、もしも自分がこの初老のフィロミナであったのなら決して彼女のような、勇気有る赦しをすることなど出来ないと思うのだ。
しかし、自己の人生は現実として、結果の良し悪しに無関係に受け入れなくてはならないと言う事実の現実の壁がある。
現在から50年以上も前の事件なので、今ではこんな現実は改善されているだろう事を願っているのだが、修道院と言う世間から隔離された閉鎖社会の中では、こんな出来事が起こってしまう現実があるのかも知れない。
人を救う筈の宗教が、時に人を縛り付け、裁き、傷付けてしまうなど、余りにも教義を厳守しよう試みる事で、その信仰が掲げている愛と許しの精神が、原理主義に因って退けられてしまう恐さがこの作品から滲み出ていた。
しかし、ジュディ・デンチがこの映画の初老のフィロミナを演じている事で、何故か暗く陰鬱に作品が成らずに、年老いた田舎暮らしのおばちゃんの純な気持ちが切々と観客に響いて来る立派な作品だった。
養子に出した息子にどうしても再会したくなった老婆?の心境も、アメリカに行く事になり、事態が現実化する事で不安に思う事など、様々に揺れ動く母心を余すところなく熱演している点が素晴らしい。
特にクリスチャンである自分は、信仰生活と家族、そして自分の人生と神様との関係等々様々に考えさせられるところの多い作品だった。
それにしても子供を想う母心とは有り難いものだ。母の日も来月に控えている。
貴方の大切な家族と共に、この映画を観て、家族の在り方について、家族の絆を新たに強くする為にも、この映画を未だ観ていない方には、お薦めしたい!
「おかあさん、ありがとう!」って言葉にしたくなるそんな映画でしたね!