子宮に沈めるのレビュー・感想・評価
全65件中、21~40件目を表示
自分との違いがわからなくなる
ほぼワンオペで2児を育てているが、主役として描かれる母親の性格は自分と共通点が多い。
やや完璧主義で感情的で愛情深い。
子供に愛をもって接していて
夫に愛されたいと願っていて
夫の愛がなくなったあとも子供と自分との生活を作り上げようと一生懸命に生きている。
仕事をしながらもなお子供に愛情を注いで
引越し後もすぐスーパーの惣菜が描かれているが、きちんと野菜も買っているし、調理器具や牛乳なども揃えている。牛乳パックを開いて、プラスチックを分別している。
でも、そんなよくいる性格の女性でも、こんなにも残酷になれる可能性があるのか。
夫婦の関係悪化の原因はすべて描かれていないが、育児丸投げでいた点は夫が悪くないのか。
養育費を必ず払わせることは法律でできないのか?
社会的底辺にいる友人は、頭が悪く善悪がわからない。
でも、そんな友人すらも頼らざるを得ない彼女に安心できる預け先を提供できない行政は?
子供を産んだ後にまた子供を捨ててまで行く場所があるのだろうか、自分には想像もつかない。
でも、それは誰にでも起こり得るのかもしれないことだ。
虐待しそうになったときに思い出し、何度も考えたい映画だと思う。
心に、瞼に焼き付いてしまう
全てがリアル
演技と思えない。
愛されたい、女性でありたい母親が
壊れていく、堕ちていく過程
涙が出るほど無垢な子供
捨てられたとは知らず
ただ帰りの遅いお母さんを待ちながら
見よう見まねで一生懸命弟の世話をしながら
何とか飢えを凌いで待つお姉ちゃんの姿が心苦しい
床に散らばった粉ミルクで作るミルク
それを共有する二人
弟が死んだ事もわからずにいる姿
弟のオムツのにおいを嗅いで
オムツを交換しようとするもできない
日に日に油ぎってくる髪の毛
お母さんが帰ってきて、
服を脱がしてもらう時、
パンツが汚れてたのもリアルだった
弟の世話ばかりで寂しかったお姉ちゃんが
風邪を引いた時世話してもらって嬉しそうだったし
甘えたい盛りなのにね、、、
お風呂はママも一緒ママも一緒って…
そのあと溺死させられちゃうだなんて、、、
トラウマ
もう少し展開がほしかった
内容的には興味深いものであったが、ドキュメンタリーに近く映画としてはもう少し展開がほしかった。
子供オンリーのシーンが多いこともあり色々と詰め込むのはなかなか難しいのかもしれないが、『誰も知らない』のようなテンポや流れがもう少しほしかった。ちょっと間延びしてると思ったら急に色々と起こったりと観ていてしんどかった。また、ブラックアウトで繋ぐのが目立つ点もやや安易さを感じ、チープな印象を受けてしまった。
ただ、子役の子は凄い。この歳で一人で画をもたせられるのだから。将来が楽しみです。
母親像がブレており説得力に欠ける
実際の事件を元にしているが、
実際の事件の母親像と本作の母親像はとても乖離している。
それ自体は事実から構想を得たフィクションなので良いのだけど。
本作の母親、父親が出ていく前は育児能力はかなり高かったと推察される。
私も今1歳児を育てているが、おうちピクニックであんな素晴らしいお弁当なんか作れないよ。
かなりの高等テク。部屋も片付いているし、親の鑑のよう。
それが父親の家出(離婚?)をきっかけに、どんどん家が荒れ果てていく。
男性が家に来るようになり、母親の服も派手になっていく。
実際の事件では、犯人は男遊びが激しかったようだが、本作では前半、あまりに彼女はしっかりしているので急に男遊びを始めたとは思えず、経済的に致し方なく夜の仕事を始めたのだと解釈していた。
そして一転、家に帰らなくなり、あの結末に。
おそらく実際の犯人は自身の虐待や性被害の経験から、社会的判断能力が低く、境界線知能だった可能性もあるが、本作の母親はとてもそうは見えない。むしろ平均以上の能力を有している。二児をかかえてワンオペ状態にも関わらず、マフラーまで編んでいたなんてすごい。
だからこそ、普通は困窮したとしても児相に相談したり行政に頼ったりする筈だが、そのプロセスが全くなくいきなり乳幼児を部屋に閉じ込め殺害する、といった展開に説得力がなかった。
辛い場面の長回しがしんどすぎる
実際にあった事件を元にしてると聞いてはいたけど、あえて登場人物の背景はあまり描かず、表情もはっきり写さず、観る人の想像力次第でどうとでも捉えられる様、淡々と描写されていると感じた。
それ故、幸せな日常生活からネグレクトという異常生活に向かうのが、唐突と思えると同時に、日常から異常へのすり替わりが誰にでも起こり得るようにも思える。決して起こってはいけないことだけども…
冒頭で生理が始まり、母親から女へ、女からまた妊婦へ、ラストは母親になれない自分への断罪という描写なのか…??
家族というものが壊れていくと、家庭内で1番力なく弱い存在である子供に、それら全てが集約されていくのが痛々しく本当に辛い…
悔しい
悲劇的な現状を世間へ訴える方法として映画の中でも様々な方法がありますが、今作は作品として子供から見た母親の内面を炙りだすことに注視して抽出してるんだと思います。
個人的な感想というか、グロテスクな描写だと感じたのは、山盛り炒飯等はあの女性に最後に残った人間的な良心に見えて、実は後ろめたさを軽減させるための行為に思えました。そこにレビューされている方の仰る通りの、理想とする社会へいまだに到達できていない絶望を感じました。
コレは辛い
観ていてとても辛い。母親が出て行ってからの2人の様子はもう可哀想で、、、辛い辛過ぎる。さちが包丁を出したところはもうハラハラ💦
母親も最初はキチンと育児していたし、可愛がってもいたが、夫は家に寄り付かず無関心。他に頼る人もいない、母親もあれでは壊れてしまうよなあ。とはいえ、育児放棄が許されるはずもなく、若い男を連れ込んで、子供が起きているのにイチャイチャするのはやはりよくない。
そもそも、夫との関係性がよくわからない。離婚しているのか、別居中なのか。母親の仕事とか、保育園は?とか、わからない事が多く、最後の赤い毛糸とかぎ針の行為がよくわからない。さちの最後もよくわからず、ラスト、母親はどうしたのか?疑問だ。
辛くて、2度は観れないな。そして、この映画を観て思う事、子育てしてきた経験者として思う事は、子供は母親1人で育てるものではないし、母親も1人だけでは大変。父親はもちろん、親類や相談できる友達、ご近所さん、行政等、みんなで育てる、であるのが理想。この母親ももう少しまわりに協力者がいたらこんなことにはならなかったかも。
母性の喪失に加えて父性の無責任さを見る映画。
ドキュメンタリーのようなカメラワーク。幼い長女の在り方が演技とは思えないほど。胸に詰まる。
何日も置き去りにされ、食事も与えられず、部屋を虫がはいずり、排泄すらままならず、それでも子供は母親に捨てられたなど思わない。それは子供が純粋であるというより、母親が絶対的な存在であるからだ。子供にとって親から見捨てられることは文字通り心身の「死」を意味する。親子には明確な権力関係があるのだが、それに無自覚な親は多い。
映画を見て、酷い母親だとなじるのはもっともだが、どうしようもない父親不在感に気づくだろうか。
この映画のモデルとなった母親は、自分の浮気が原因で夫と別れたものの、離婚に際して夫や義理の両親に対して「養育費を求めないこと」「義実家の助けを求めないこと」などを誓約させられていたらしい。それは一見元妻への懲罰に見えるが、実際には子供への虐待である。どんな子供でも両親から養育費を受けとる権利があるからだ。日本では離婚した父親の2割しか子どもの養育費を払っていないという。これは間接的な養育放棄、虐待である。
どんなに親がクズでも子供は守られるべきだからだ。母親の責を子供が負うようなことがあってはならない。
本編でも、母親がクズでも父親がまともなら子供は救われていたかもしれないのに。
本当は、そのまま、少女終末旅行で終わって欲しかった。
真実の事件に対する男目線な結論に見えた。この映画の結末は、生殖行為に対する贖罪に見える。
母親は最後まで、脇役であるべきだった。しかし、
『この女性の異常を表しているのかも』と感じた。つまり、そのまま、餓死させては、何一つ救われない。誰が見ても愚行と感じる事を、この母親に演じさせる。この行為は『育児放棄』なんかではなく『3人の子供に対する殺人』になる。ろうそくが燃え尽きたのでなく、この母親に吹き消されたと言う事だ。表現がおかしいかもしれないが、子供の死を見なければならない観客は、子供の愛くるしく健気な行為に正当な涙を流せると言う事だ。商業映画だと思うが、
そう言った親に対してのメッセージを送る映画として活用しているので、共感をしたい。男目線な話と言う部分だけ、残念ながら評価出来ない。さて、
不謹慎だけど、少女の生命力に『少女終末旅行』を感じた。この映画は残念ながら傑作だと思う。
但し、二度と見たくない。
でも、見なければならない人は、まだまだ、沢山いると思う。こう言う事を『誰も知らない』訳だから。
追伸 中絶の問題は全く別だと解釈すべし。
苦しくなる
子供は嫌いです。
まぁ、二人育てて、もう自立してるけど
少子高齢化や、親のアイデンティティや、世の中の流れや
今の親世代が育って来た環境からか
子供は騒いで当たり前
子供は守られて当たり前
そう思っているように感じる
勿論、子供は守られる者だ
それは、親に守られるべき存在である事が
全ての前提である
結婚する時
[離婚して、子供を抱えて生きて行けるか]を考えた
同僚にそう話した時に
「普通は結婚前に、離婚の事なんか考えないよ」と
一笑に伏された(笑)
が、やはり結婚する時には、そう考えるべきだと
この映画を観て痛感した
実話がベースであるこの映画のモデルとなった母親が
映画の中の母親のように、実は母性かあったのかは知らない
子供の存在が、足枷になる気持ちは判る
かといって、子育てを放棄する事は、あってはならない
子供を持ったら、最大限の努力で、可能な限り
子供の望む未来を与える事が、親の義務だと考える
野生動物は、生命の危機を逃れる為に
生まれて直ぐに立ち上がれる能力を持っている
が、人類の赤ん坊は、食物連鎖の頂点に居て
親が守り育てる能力があるのだから
産まれた限りは、守る必要があるのだ
に、しても
見るに耐えない映画だ…………苦し過ぎる
とってつけた感の背後にほの見えるフェミニズム
作品の内容を要約すると、
シングルマザーの育児奮闘記+『誰も知らない』幼児版+子育て女性の転落ドラマ
ということだろうか。
どれも数多くのフィクション、ノンフィクション等で取り扱われているテーマだから、今さらテーマ的に新鮮さはないが、2つの点で新味を出そうとしているのが感じられる。
①全編がアパートの室内のいくつかの視角から固定カメラで撮影したことで、ドキュメンタリー要素を出している。確かに子役の演技などは非常によくできているのだが、それ以上のものではなく、後半は退屈してくる。
②シングルマザー、子育て、仕事、異性関係を全部一緒にくるんで、それを「子宮という業に引きずられる女性の姿」という視点でまとめている。しかし、いかんせんとってつけた感は否めず、その背後には子供を女性の子宮の産物というフェミニズムで見る軽薄な視線があり、どうにもいただけない。
新しい演出
これは映画作品というよりドキュメンタリーに近い映画なのではないかと感じた。
監督が理解させるのではなく、観客が理解し思考を咀嚼する為の映画だと思った。
一つ一つのカットが徹底的に第三者から見たようになっていて登場人物の感情を描写させない。
バストのカットがいくつかあったがそれすらも感情を感じさせない演出に痺れた。
ただ旦那との別れ?の経緯がふわふわしたように感じた。
全ての父親に見てもらいたい
人様の家庭を覗き見ている様なカメラアングルや、幼き長女の芝居が演技とは思えない妙なリアルさを帯びていて、途中実話なのではと思い、観賞後調べ、涙が止まらなかった。
確かに悲惨な事件である事に間違いないが、劇中の母親は最後まで子供を愛していたからだ。今の日本ならば何処にでもいる普通の母親と日常的に見られる所謂ワンオペ育児家事。そしてこの母親はタガが外れた。そのきっかけが不明瞭であるからこそ、誰でも起し得る事件なのだ。
男性は家庭に入った女性が自由で伸び伸びと気楽に毎日を過ごしていると思っているかもしれないが、夜は何度寝かしつけても泣いて起こされ、一日中子供の玩具や食べ散らかしたご飯を掃除、洗濯、これが永遠続く事がはたして気楽であろうか。
生物学上完全な男女平等は無理かと思うが、男性が今以上に家庭に入る社会へと変えるため、全ての男性に、そして社会的に影響力ある政治に関わるの方々にも是非見て頂きたい映画である。
事件を淡々と映した「動画」
感動的な音楽などはあえて流さず、ただ淡々と子供たちが衰弱していく様子が映される。
母親が帰ってくると信じているせいか、不思議と子供は辛そうに見えない。
これ系の映画「誰も知らない」よりも断然エグい。
虫が苦手な人は要注意。
かえりなさい、産まれる前に
実際の事件をモデルにした映画。
母が子への興味を失っていき、やがて育児放棄をしてしまう。
胸糞悪いけど、一度は観てもらいたい映画。
若く優しい母と、乳幼児の姉弟。
3人は幸せに暮らしていたが、父との離婚、母の就職を機に生活が一変する。
母の身なりがハデになり、部屋は次第に荒れ、若い男を家に連れ込むように。
母が構ってくれなくなって寂しいのか、お姉ちゃんが家族で海に行く絵を描くシーンは胸が痛くなってしまった
ある日突然、母親は出かけたまま帰ってこなくなる。
扉や窓にはガムテープが貼られ、幼い姉弟はリビングに閉じ込められてしまう。
僅かな食料で食いつなぐも、弟は餓死。
弟の死を理解できない姉は弟のために紙粘土でバースデーケーキを作る。
姉は水道水や生米、生ごみを口にしながら、変色しウジ虫がわいた死体と同じ部屋で暮らす。
何日か経った後、突然母が帰宅してくる。
寂しかったと母に抱きつく姉。
母は弟の死を確認すると姉を風呂場で溺死させる。
部屋を掃除し編みかけのマフラーを発見する。かぎ針を抜き取り、産道へ挿入する。
幸せに暮らしていた頃、子供たちのために編んでいたマフラーだ。
マフラーは息絶えた姉弟の首に巻かれ、かぎ針に通されたままの赤い毛糸は母の子宮へと繋がっている。
子供がお腹の中にいる時に戻れたらどんなに良いだろう。
もっと子供に愛情を注げたかもしれないし、夜の仕事なんて始めなかったかもしれない。夫ともっと上手くやれたかもしれない。そもそも、子供なんて産まなかったのかもしれない。
もう一度、子宮へ沈めたい。
孤独が母を追い詰める。
ポスターに書かれたキャッチコピーだ。
母は誰かに愛されることを渇望し、子供に愛情を注ぐことを辞めた。
自分を見てくれる存在が居なければ、社会において自分の存在意義を感じることは難しいのと同じように、母は男に抱かれる事でしか自己の存在を肯定できなかったのかもしれない。
「誰かに認められたい」という人間らしい欲求が、虐待やネグレクトという非人道的な行為へと走らせる。
映画の序盤や中盤は、子供はよく分からないタイミングで泣くし、言うことを聞いてくれない。そういう育児のリアルさが撮れていたのではないかと思う。
子供が酷い目に遭うのを観るのは辛く、胸が痛い…
でも、この映画でそう感じたからこそ、自分の子供は幸せにしてあげたいと強く思った。
責めるべくは弱さではなく、環境
子を育てるということは、決して一人ではできないということを痛感させられた映画でした。
母親の無責任さ、薄情さ、愚かさを責めるなんて、誰でもできるし、誰でも思うことだと思います。でもそうすることが、根本にある問題の解決に繋がるのか。繋がるわけないんです。
例えばこの映画が長女を殺したシーンで終わっていたとしたら、そりゃもう母親への憎しみしか考えられないと思います。でもラスト、2人にマフラーを巻いてあげる場面のおかげで、私たちは彼女が目指した家族像を再度考え直すことができるんです。母親は2人に真っ赤なマフラーを巻きながら、レジャーシートをひいてピクニックすることを夢見てたんですよね。でもそれは叶わなかった。それは、彼女の弱さももちろん原因の一つですが、手を差し伸べられなかった周りの人のせいでもあるんです。
誰しも完璧な親にはなれない。そんな中で、私たちが当事者なら、もしくは目撃者なら、どんな行動を取るべきなのか、考え直すきっかけになったという点で、とても意味のある映画だったと思います。
ただ、やはり今の日本は近所付き合いが希薄であったり、行政がなかなか踏み込んだ支援をできないという現状があるので、なかなか難しいなとも思ったり。とにかく「母親」を孤独にしないことが、私たちにできる最善策だと思います。。
評価の難しい映画
はっきり言って人にはおすすめできない。
鑑賞後の気分は最悪。
だけど、あえて音楽を使わないとか、子供目線のカメラワーク、などなど映画表現は素晴らしい(子役の演技も素晴らしい、がちで泣いてそうで心配になってしまうけれど)。
そして、子供目線で事件の悲惨さを伝えるのに十分成功している。
(子供にとってはさ、なんでこんなことになっているのかわからないよね、理不尽でしかないんだけれども自分が悪いと思ってしまう。。そして、これが周りにたくさん人のいるマンションで行われたってことに、この社会の闇を感じる。)
なお、後で知ったが、この映画はオレンジリボン運動の推薦映画となっている。
この映画を観て寄付する人が増えるのであれば嬉しい。
全65件中、21~40件目を表示