「音の情報が少ない分映像が目に入る」子宮に沈める しじたんさんの映画レビュー(感想・評価)
音の情報が少ない分映像が目に入る
なんとも見ていられないようなシーンが多い。演じてる子役の演技が印象的で思わず調べてしまった。
冒頭シーン、誰もが素晴らしいと思える母親像。雨の日には行こうとしていたピクニックを自宅で子供たちが楽しめるように高クオリティの弁当を作る。夕飯も凝っている。妻は専業主婦で夫が仕事に忙しい人である家庭なんて沢山あると思う。その分夫がお金を稼いでくるなら、妻は育児、家事に集中して取り組める。母親が取り乱しているのは、夫の帰りが仕事で遅いということだけではないことを感じているからだろう。
そこから母子家庭になっていく過程は詳しく描かれていない。(浮気なら慰謝料を取れる手段はなかったのか?養育費は、、?その後の父親は?等々、、)
母親の友人も、いかにもという感じである。(夜職をしていそうな事に対して言っているのではなく、友人の子供が寝ていて泣いているのにも関わらず大きな声で話し続けるところなど、どこか人として欠如している?)もう少し心の支えになる友人はいなかったのか、、母親も元々この友人のような人間だったのか、、、。また、両親や親戚の助けは求められなかったのか、とも思う。(求めてないあたり無理なのだろうけど。)
最後の毛糸のシーンにはかなり長い時間がかけられている。赤い糸の先にあるマフラーに包まれた子供2人。伸びた赤い糸はへその緒。その先にいるのが産まれた子供。
隣人の気づきや夫の対応、友人、両親、親戚、何か手は無かったのか。死んでしまった弟だけでなく、なぜ長女を殺さなければなかったのか。
どちらにせよまともな精神でいられなくなってしまった母親。人はここまで沈んでいってしまうのか。母親の人間性を気持ち悪いほどに感じた。