劇場公開日 2013年12月14日

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「自由」少女は自転車にのって とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5自由

2020年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

サウジアラビアの女性の話。自叙伝?

慣習を守る母と、慣習の枠組みを超える娘の生き方の対比が見事。
しかもこの母子を対立構造で描かない。
慣習から踏み出せなかった母の変化が心に残る。切ないね。

この母子を中心に話が進むが、
慣習をものともしない母の同僚、
そんな同僚を同僚として認めて働く男性職員、
昔は主人公の少女のようだったと語るのに、今は…という校長。
同級生や先輩。
そして父、
少女に恋心を抱く少年、
自転車を、”少女のために”と取っておく店主、
運転手
と様々なスタンスを持つ人々が描かれる。

うん、慣習を守ることを信条とする人、強要する大人もいれば、
あまり気にしない人々もいるんだね。
監督ご自身も、このような国の出身で、USAに留学しているから、皆が皆、この学校で強要されていることに甘んじているわけではなさそうだ。

一夫多妻制も、
アフリカのある国は第一夫人が許可しないと、第2夫人を娶れないとか、
江戸・明治~昭和初期の日本や、昔の中国では、妾がいることが男の財力の証で、正妻はそんな妾をうまく管理することが”よき御寮さん(妻)”の証だったとか、
それぞれの国、時代で変わってくる。
通い婚が普通だった平安時代は、地位は男性に、財産は女性に受け継がれていたから、お互い佳き伴侶を得るために、簡単に他に乗り換えるし、多夫多妻状態もあったようだ。勿論、そこには相手を引き留める駆け引きもあり、相手の不実をなじっている人もいたけれど。
この映画のサウジでは、姑の力が大きくて、基本、日本の武家社会と同じで、跡取りとなる男児を得ることが目的とは切ないね。
女性は子を産む道具という発想なのかな?それは今の日本にも残る発想。

サウジの風習を見られて面白かった。

そして、
この少女を慣習をものともしないで自由へはばたくとみるとすがすがしい映画。
でも、私的には、少女の振る舞いがあざとすぎて、ちょっと評価を下げてしまった。

とみいじょん