大統領の執事の涙のレビュー・感想・評価
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アメリカの歴史を、一人の国民としての目線から捉えた良作
温かく重みのある良い映画だった。 作中でも描かれていたように、当時ベトナム戦争はアメリカの参戦の意義が問われていた。個人的な意見としては、ベトナム戦争によって南ベトナムが敗北すれば、ソ連や中国といった共産主義勢力の拡張を許すことにつながり、結局アメリカをさらなる危険に陥れることにつながる。アメリカの安全を守るためにも、むしろ積極的にベトナム戦争に関与して先手を打つ決断を政府が下したのは正しかったように思う。しかし、所詮それは他人事だから言えるのであって、セシルも息子が戦争に送られるのは許せない気持ちでいっぱいだっただろう。 また、公民権運動に関しても、この運動が黒人の社会的地位向上や公民権法、投票権法といった法律の成立に大きな役割を果たしているので、大変な意義のある運動だった。しかし、我慢を重ねて自分の身を守ってきた父親からしてみれば、息子が学業を放置して、逮捕されたり命の危険にもつながったりする運動に身を投じているのは、やはり許せなかっただろう。 このように、立場が変われば言うことも変わる。今作は、20世紀アメリカの激動期を、一人の国民として、そして一人の父親としての目線から捉えた良作。また、農園での底辺労働者という立場から、ホワイトハウスの執事にまで立身出世したサクセスストーリーでもあった。
7人の大統領に仕えた黒人の執事の物語。今も世界中に残る人種差別(肌の色だけじゃない)を考えるきっかけになる作品。
初めての鑑賞
まったく予備知識なく、タイトルだけで録画した
想像していた内容と違っていたが
すぐに物語に引き込まれた
農場で(奴隷のように)働く両親のもとに生まれた主人公のセシル
ある日、雇い主に母親がレイプされ、父親が殺されてしまう
雇い主の母親に給仕係として拾われたセシルだが
やがて、農場を抜け出す
盗みに入った商店で黒人の使用人に拾われた主人公は給仕係の仕事を覚え
やがて、ホワイトハウスで大統領の執事として雇われる
という物語
黒人でありながら、ホワイトハウスで執事に採用された主人公は
一見、肌の色の差別を超えたように見える
しかし、そんな簡単な話ではない
家族は常に肌の色の差別にさらされ
長男は公認権運動に参加するようになる
しかし、認識の違いから
家族の関係が悪化してしまい
長男は孤立してしまう
執事として最初に仕えたアイゼンハワー政権時
選挙戦を控えた共和党の候補・ニクソンが
「黒人の待遇改善を考える」と約束するが実現せず
後に就任し、黒人差別撤廃を呼びかける民主党のケネディは暗殺されてしまう
7人目のレーガン政権時に辞職したセシルは
息子のことを誤解していたことに気く
一緒にデモに参加し、和解するセシル
数年後
ついに黒人の大統領候補・オバマが現れる
妻と一緒に投票に行こうと準備するセシルだが・・・
この映画は肌の色の違いだけではなく
家族のかかわりを同時に考えさせらせる
大統領を通じた米国史と‼️❓執事を通じた黒人問題❓‼️
もちろん、執事と大統領とのリンクするところは創作なのだが、いろんな勉強にはなる。 差別問題といえども、ユダヤ人虐殺と対峙するほどの被害はあり、現在進行形なのだ。 日本も対岸の火事ではない、人種問題以外でも、イジメは殺人多数であり、パワハラ、セクハラも同様。 映画に戻れば、ベトナムでは、ベトナム人は五百万人、米兵は二百万人の犠牲者が出た、こんなに続けたのは軍産企業の影響も多い。 オバマはハワイ出のエリートなので、黒人問題は好転出来なかった。 現在、ウクライナやイスラエルの継続が危惧されるのは、ベトナムと根源を同じ、とも言える。 かなりオブラートに包んだ内容の映画だが、その分リアリティは高い。 アメリカを知るために、是非。
執事の父親と息子の物語
人権問題とか差別とか、KKKが出てくる作品を知らず知らずのうちに立て続けで観ていたので、そういうのがないハートフルな雰囲気の作品ないかと思い手に取ったのが本作。 調べなかった自分も悪いが、思いっきり人種差別についての作品で、執事かどうかは余り関係なかった。 この後に観た「夜に生きる」にもKKKとか出てきて、また偶然にも差別を扱った作品だった。なんかとりつかれてるのか、そういう作品が多くなっただけなのか、自分の選別眼がおかしいだけなのか、まあどれでもいいけれど、期待と内容があまりにも違うと少し評価に影響しちゃうよね。そうならないように気をつけてはいるけれど。 それで内容についてだが、すでに書いたようにもうほとんど人種差別についての物語だった。 主人公と大統領の絡みは思った以上になくて、ニクソンと一回、ケネディと一回、レーガンと一回くらいしかない。あとは、各大統領が差別絡みの政治判断をする場を見ているだけだ。 各大統領はなかなか豪華なキャスティングだったのに出番が少なかったのは残念だ。 あとは、作品中で「夜の大捜査線」について、白人が考える黒人の姿だというセリフがあるが、なんだか、本作こそがそれに該当してしまっているような気がした。 自分は白人でもないし黒人でもないからその辺はちょっとわからないし、確か黒人監督だったと思うから自分のほうがおかしい可能性は高いけど、どこか何か違うような違和感は観賞後にすごく残った。なかなか面白くていい作品だけど、★5はないなと感覚的に思うのはこれが原因かと。 それと、ここ10年くらいの映画は画像加工技術が発達してすごいよね。フォレスト・ウィテカーがそこそこ若い時代から老時代まで演じているが無理が全然ない。 ウィテカーの年齢不詳感が後押ししているのもあるだろうけどね。
公民権作品
ホワイトハウスと大統領寄りの内容かと思いきや、公民権運動にかなり重点が置かれているようで、そこは期待と異なります。 真面目で淡々とした佳作であることは疑いありませんが、今一つパンチが足りないような。
偶然
テレビで見た。 アメリカの負の歴史の面(黒人差別)が描かれているから、フォレストガンプの対の映画と言われている。 KKKがめちゃくちゃ怖かった。歴代の大統領についた執事が主人公だから歴史の勉強にもなりそう。
父と息子の想い
戦後の歴代アメリカ大統領に仕えた黒人執事が主人公。彼の半生を通して、人種差別問題を軸に、アメリカ近代史、彼の家族の愛と葛藤を描いている。 当時のニュース映像を効果的に使い、波乱のアメリカ近代史を敢えて淡々と描くことで、人種差別問題の根深さを浮き彫りにしている。 そんな時代に翻弄されながらも、異なる方法で人種差別と闘い対立していた主人公と息子が互いの誤解に気付き和解する展開は感動的。 ラストでオバマ大統領が登場するが、アメリカ社会における黒人大統領誕生の意義深さが実感できる作品だった。
前半の駆け上っていく感じがよかった
差別の歴史と大統領の歴史がフィクションを交えてとはいえ 知ることができてよかった。差別について 酷い時代だな と涙することはあったけど、余韻としては感動はなかった。まあ良かった。
大統領の執事の目から見たアメリカの黒人差別とホワイトハウス。 様々...
大統領の執事の目から見たアメリカの黒人差別とホワイトハウス。 様々な大統領の目から見た黒人差別、そして苦悩。 人権が回復をした今でもその差別が残っているとニュースでも見聞きするけれど、とても難しく根深いものなんだと思う。 ホワイトハウスの執事として保守的だった主人公もだんだんと様々な気持ちが芽生え、家族と向き合い、ラストに向けて歩み寄っていく場面はよかった。
むう、
当時の過酷な状況の子供の主人公、その主人公の男の子が、序盤トントン拍子に環境が変わり、時間が流れて一気に大人になり、結婚までして子供いて家庭をもつ展開。 そこに「へ?あの男の子が、この男性に?」、「それだけ時間が一気に流れたの?」、って混乱もした。 序盤の経緯の流れが省略しすぎだろ、と。 そこからはもう大統領絡みの職に就く話になり早々に「メイン」の話になる。 それからもおもしろくもあったけど、差別に苦労する息子や、その息子との「父子の関係」の要素も多かったりで、個人的にはもうちょっとテーマというか主旨を絞った方がいいようにも思えた。 それでも、オバマが大統領になったことはやはり大きいことだったんだな、と。
いろんな差別が存在する
主人公のセシルの人生が、子どもの頃から白人による差別のそばにあり、それでも大統領の執事として、働き続けたことがすごいと思った。蔑まれようと白人より賃金が半分だろうとそこで働いている限り家族は路頭に迷うことはない。でも、我が子は思い通りにはならない。幾度となく黒人として嫌な目にあい、民権運動で拘留され、それでも戦い続けた息子も偉いと思う。歴代の大統領が出てきて、実際のニュースなんだろうなぁと思う映像が流れて、本当の歴史なんだと思った。どうしてここまで白人が黒人に対して差別をするのか分からないが、現在はなくなっていればいいなと思う。
オバマさんが大統領になったときは、みんなが泣いて喜んでいて、こっちまでホッとした。これ以上つらいことが起きないように祈りながら見てしまった。
ビリー・ホリデイの後に見るべきだ。
公民権運動では、アンクルトムは否定的に見られている。その点をかなり突っ込んで描いているので、映画の結末とか、歴代の大統領に対する忖度感には不満が残るが、評価したい。この映画が、ビリー・ホリデイに繋がるのだと思う。
教科書やニュースで知ってはいたハズだけど・・・ こんなにも近年まで...
教科書やニュースで知ってはいたハズだけど・・・
こんなにも近年まで(いや、今もだよね)強く激しい差別が続いていることに
改めて気付かされた。
「息子は犯罪者ではなく、アメリカの良心のために闘ったヒーローだった。」
それに気付き、長男と和解したシーンは胸が熱くなった。
奴隷から自分達で権利を勝ち取り、大統領まで出した黒人の勇姿
自分の無知さを思い知り、恥ずかしくなりました。
もちろん事実としては知っていたことですが、改めて黒人の方の視点にしてみると想像以上に辛いものです。
今では大方当たり前になっている人種差別撤廃の考え方も、本当に少し前までは当たり前ではなかったんだということがよくわかる作品でした。
とにかく、主演のフォレスト・ウィテカーさんと妻グロリア役のオペラ・ウィンフリーさんが良かった。
もちろん夫婦間の愛みたいなものも良かったのですが、子供が小さい頃から最後に老いていくまで同じ人とは思えないほどでした。
主人公のセシルを中心に時代が動き、彼の身の回りもどんどん変化していく。
父親は大統領に支え、2つの顔を使い分ける一方、長男は何度逮捕されても自分達の権利のためには何度でも立ち上がる。
次男はアメリカの国のために戦う。
そしてそれを見守る母親。
同じ家族といえども立場が違うとこうも意見が変わってくる。
KKKのシーンは本当に怖かったです。
教科書では写真としてしか載っていませんが、映像(勿論実際のものではありませんが)で見ると本当の恐ろしさが見えてきました。
ケネディ大統領が理解を示した矢先、暗殺されてしまったシーンとオバマ大統領が見事当選を果たし、Yes,we canと言い、終わるラストが印象的です。
ラストは遂に報われ、バラクオバマという救世主が現れたかのようでした。
綿花畑で父親を目の前で撃たれたところからオバマ大統領の当選で締め括るという非常に物語性のある締め方だと思いました。
途中でかなり下ネタを挟むのですが、これがなかなか良いスパイスになっていました。
下ネタなんかを挟むと何気ない会話といった感じになりますね。
理解しあうということが難しいことだと感じました。
執事として使えること、人権活動をすること。 やりたいことを親に認めてもらうこと。 心の奥底が見えないほうがいいこともある。 人権を獲得することの大切さがわかりました。 理解しあうということが難しいことだと感じました。
題名から想像していたのと違った…邦題が悪すぎる。
アメリカでの人種差別がまだまだ根強い時代から、初の黒人大統領の誕までを一人の黒人執事の目線で描ききっている。 アメリカ国民又はアメリカの歴史に精通していれば唸る場面が多々あるんだろうなぁと思う。 キング牧師やマルコムX、キューバ機危機にベトナム戦争。歴史的な重要事項と家族愛を2時間の映画に盛り込んだので、全体的に薄くなった気がする。 ただ、キャストは主役の二人に加えて、ロビン・ウィリアムス、ジョン・キューザック(これはミスキャストな気がする)、ジェーン・フォンダ、テレンス・ハワードと豪華だったな。 ただ、いつものことだけど邦題が悪すぎる。執事の涙なんて、この映画で描きたい事ではないと思う^_^;
断片的なエピソード・・
物語はワシントン・ポスト紙に載った実際のホワイトハウスに34年務めた執事ユージン・アレンの記事に触発された脚本家ダニー・ストロングによって書かれたが話を劇的にするため、綿花畑での惨事や息子の戦死ほかフィクションが多く含まれる。奴隷もどきからオバマ大統領誕生までの主人公や黒人たちの苦難の歴史は感慨深いが執事の物語として観るとエピソードも少なく「日の名残り」の老執事と主人の関係ほどの深みが描かれていないのが残念に思えた。
考えてみれば職を辞したとはいえ執事の守秘義務、忠誠心は堅いのだから「家政婦は見た」のようなスキャンダラスな話が表に出てくるわけもなく家庭問題で尺を埋めざるを得なかったのだろう、タイトルに騙された気もする。
本題の人種差別について考えてみた。アメリカの人種差別の根はいわば白人至上主義だからインディアン狩りに始まり黒人奴隷、ヒスパニック系、アジア系移民まで広く及ぶのである。差別撤廃は人道主義的見地からと信じたいが政治家特有の計算も見え隠れする。産業構造の変化や人種構成も変わってきており能力評価主義に動いているがプア・ホワイト層の不満を扇動したトランプ政権の台頭により雲行きも怪しく見える。人種差別を扱った映画は多いがいまや新たな格差社会が台頭してきておりAIに仕事を奪われるといった話が実しやかに語られる時代になってしまった。映画で定番の近未来は悲観的なディストピアが多いがそこではどんな人間の黒歴史が上映されているのだろうか・・。
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