エンダーのゲームのレビュー・感想・評価
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メイキング・オブ・キラーエリート(元祖もよろしく!)
大量破壊兵器って書いてもよかったけど、さすがに、ね?
原作未読。
しかし本編の説明不足感はこれまでいくつかのSFやヒーローもの、マトリックスなどの潜在化した能力が発現するヒーローものを見ていると、まあ、特に不足とは思わず、ちゃっちゃと理解はできる。そのあたりのわかったうえでの省略したスピード感はとてもいい。
強迫観念にとらわれたハリソン・フォードの変質的な感じがとってもいい。この人、絶対悪役顔だって。
ベン・キングズレーなんて、元祖キラーエリートって、「ガンジー」のパロディかい?
大人のキャスティングは結構笑ける。
ガキの訓練のほとんどが無重力遊泳だとか、モバイルとか、スケールがひたすらものすごい小さいのだが、それは逆に小僧が最終的にやったことのデカさとの対比、ということなのだが、その絵も結局ゲーム感覚なまんまで、やったことのデカさがハリソンのセリフだけ、っちゅうんだから、絵的にも、話的にもスケールが全然大きくならないままで、終了している。
知性と知性の戦い、空想は遠く宇宙を駆け巡る
異性の知性との戦いがあったとして、"ただ勝つだけではダメだ、どう勝つか"とか言うあたり、理想主義やSFがまだキラキラしていた頃の空気に触れた気がした。
ストーリーはスターウォーズやデューンのような壮大さやスタイルは無いが、短い時間にこじんまりだがよくまとまってだと思う。
正しい正しくない抜きにして、マシーンのように殺してしまう最凶最悪の存在が人間であったとしたら、それで生き残ったとしてもあんまり意味がないとの考え方も有る。
敵が人間とは全く違う虫のような存在であってもただ滅ぼしてしまって良いのかというあまり戦争の実践向きではないが、ヒトとしての実存を問うような悩みも僕好みだ。
そんな思考の狭間で悩み成長する存在が、主人公の少年の初々しさと相待って映画として良かった。
どなたかが書いてるが、お姉さん、女性的なもの?への執着のようなものはやや違和感を持ってしまったが、まあそう言うこともあっても良いかも。
優秀な戦士とは・・・
子供の戦争ごっこを他愛無い悪ふざけと看過するとしても実際の戦闘となると話は別だろう。かっての戦争の学徒動員やイスラムの少年兵など痛ましい歴史が思い起こされる。
湾岸戦争でもハイテク兵器が闊歩し、まるでビデオゲームと揶揄された、ゲームであれば子供の方が呑み込みは速いし反射神経も優れているということからなのだろう。本作では戦闘スキルとして子供に期待している設定が実におぞましい。
如何に優秀でも実戦となると純真なヒューマニズムが災いするとみて模擬訓練と騙して戦わせる手の込み様、酷い大人たちでした。ただ、自衛か侵攻かの大義名分や少年兵や核兵器を超える大量殺戮兵器など手段の是非を論じてみても有事となれば見境のないのが人間の怖さであることは否めません。容易に答えの出ない問題ではありますが未来を担う子供たちには考えてもらいたいと願って映画にしたのでしょう。映像は流石にデジタルドメイン、圧巻です、ワイヤーアクション満載の無重力空間での戦闘訓練シーンも見事でした、何でもシルクドソレイユの芸人さんたちの指導で子供たちが頑張ったようです。メッセージ性の強い分だけコミック系のSFアクション作品と比べると娯楽性では薄いですがジュブナイル向けとしては貴重な良作なのかもしれませんね。
自分の尊厳
生きるには、現実から逃げないで向き合うしかない。
愕然としたとしても、道はある。
他の何か誰かのせいにしなければ、自分オリジナルをはじめられる。
そういう勇気を教えてくれた映画。
ストーリーの大事な所だけは知ってました
でもそれ以外は全然覚えてなくて
読んだのは小説の紹介だったのかな
エンダーは相手に共感して倒しちゃうわけですけど、それは超能力レベルなんですね
心理ゲームの謎展開はまさかの理由だったし
訓練施設の無重力ゲームからの艦隊の指揮官になっちゃう流れが突然来るので
ああ、エンダーって優秀なのねとしか思えなかったです
原作を上手く映画化出来たとは言えないかな
多分端折りすぎてるんじゃないかなー
天才軍師
こういう天才系は好きな方です。
ストーリーはよくある感じですが、映像は素敵でした。
完全に場を支配し指揮するエンダーの姿、その指示通りに優雅に動く無数の無人機。
戦闘シーンは圧巻でしたね。
エンダーの放った「勝ち方が問題だ!」という言葉。
これは復讐が復讐を生むという、リアルにも通ずるテーマですね。
ただ勝つだけではダメという奥深い言葉だなと思いました。
子供の中の無限の可能性
世界観は非現実のようで現実に有り得る人間模様を描いた作品でした。
子供の中にある無限の可能性をいかに自分達の思う様に利用しようとする大人とたくさんの嘘や優しさ十人十色の個性に囲まれ葛藤を続けていく子供。
環境が目紛しく変わるのにも関わらず類い稀な才能を持って順応していく一方で、常に愛情に飢えている姿に幼さ残る主人公がとても良かったです。
暴力だけ解決しても一方的結論であり無限の解決策を考えようとする幼い姿に涙が止まらなかったです。
自己防衛の為とはいえ暴行を働いてしまった事への葛藤
大人は仕方ないと言っても子供からしたら仕方なくはないんだな。と・・・
なぜ?どうして?本当に??
子供のよくある口癖ですね^^
彼は殺戮したかったわけじゃない。しかし大人の勝手な都合に結局言いくるめられ、葛藤する
所詮子供なんだと・・
やっぱ無理に押さえつけようとすると頭脳明晰な良い子でも爆発しますよね。
ラストの彼の優しい心と勇気ある行動にも胸を打たれます。
全てを受け入れそこから自分はどうするのか。
未知に対する恐怖よりも自分が出来る可能性を純粋に信じる少年の成長をもっと色々な観点から見たかったです。
私が女性だからかもしれませんが・・エンダーにとても母性本能が働きました。
アンダースン少佐やペトラのエンダーへの優しさにも母性愛を感じ共感しましたね^^
SF映画の括りなのでバトルシーンなどに物足りなさを感じるかもしれませんが・・
設定などとても良かったのでもう一時間くらい長くてもいいんじゃないかなーって思いました
カットシーンを見ると最後のオチの方向性が見えてこれはこれで良かったのかなとは思いますが・・・
純粋な心ってやっぱすごい!
泣いてる私を見て旦那は「これのどこが泣けるのだ?」と首を傾げてましたけど・・
ちょっと展開が急過ぎ
エンダーがチートだからおいておいても他のサードの子供が軍に指示したり操作していたのがちょっと疑問に思った。エンダーが何であそこまで姉に依存しているのかも疑問。
訓練シーンはおもしろい。が…
これは深い作品だとはわかるけど、正直、納得はいかない。大人の身勝手さがわかる演出なのは良いけど、まだあそこで終わった方が個人的には考えさせられました。
最後は破壊してしまった星の償いのためにエイリアンの住む星を探しに旅を出たけど、星を破壊しといてそれで許されるとは到底、思えない。こう見えてしまうのは基地の近くにあった洞窟的なのに一匹生きていたエイリアンの怒りが微塵も感じなかったからですね。
とはいえ、深い作品で出来はなかなか良い。特に、訓練シーンは『ハリーポッター』シリーズのクイディッチ的でもあるから斬新ではないけど戦略がちゃんとあって、これだけの話で良いんじゃないかと思うほど見応えがあったのでオススメしときます。
が、派手さはないと言ってもいいし後味はよろしくないのでスッキリ、後味が良いが好きな方にはオススメしません。
ちょっと新たにレビューの要素を増やしとこう…。
今回の可愛い&美人は…
アビゲイルブレスリン
明らかに綺麗になったよね…
頭の良い人にしかわからない映画
頭の良い人にしかわからない映画 と記したが
映画のテーマの答えが劇中では解り辛くなっているので仕方ないかもしれない。
監督は「子供達に討論してほしい」と言っているので
あえて全ての答えを言葉にせず、解りにくくしたの思うが
子供のためにももう少しヒントをくれてもよかった(笑)
ただ映像が美しく壮大で少年の成長が描かれている映画にしかみえないのはわかる。残念な事に本当に伝えたい事が解りやすい言葉にされて居ないからだ。
しかし実は、この映画にはゲームと本当の戦争の違い・戦争についての答えが全てある。
(ここからネタバレになります)
劇中で描かれていることの答えを解りやすく言うと
まず「敵を理解すると愛しもする」というセリフがあります。
これが戦争についての答えであり嘆きです。
戦場では兵士は大人から、敵を虫だと思わされます。存在価値のないものだと。これは劇中でもちゃんと描かれています。
つまり敵を理解しようとしないから愛せないんです。
話し合いにならない。戦争はなくならない。
何故敵が地球に再来しなかったかわかりますか?(←この問いはエンダーもグラッフに言ってたはず)
人類が居たからです。彼らは違う種族でも命の大切さを尊重した。
敵を理解し愛したのだ。
何故敵の女王がエンダーに自分達の事を伝えたかわかりますか?
敵は訴えていました。"私達を理解して" 悲しい話です。
また超展開後のエンダーの「勝ち方が問題なんだ」
これがゲームと本当の戦争の違いです。
本当の戦争では戦い方が敵の頭の中、心に残ります。勝ち方によっては次の戦争に繋がってしまうんです。
ゲームはただのプログラムでリスクもない。1度勝てばおしまい。
最初のエンダーといじめっこの喧嘩を覚えて居ますか?
エンダーはまず自分を押さえていた2人の敵を、ボスを挑発してなくしました。そしてフェアになる。
だがそんな状況でエンダーは勝つ。これで未来の戦いはなくなる。
(しかしエンダーも後悔していた敵が動けないのに蹴り続ける事はグラッフのような人類の攻撃性を表している)
これらを理解するには当たり前だが戦争について知ってる事が条件。
あなたは戦争について考えた事はありますか?
映画を観た後じっくり考えて欲しい。
どうしても解らなかったらDVDを講入し、監督の音声解説を聴いて見ると良い。
この映画の良さが解ること、あなたが戦争について考えてくれる事を祈ってます。
インディペンデンスデイのその後みたい(^^;;
って事は無いでしょうが、優秀な指揮官が母船に突っ込んだあたりから、アレって思っちゃいました。
あれで優秀な指揮官と言えるのかねー?
ともあれ、養成とはいえ、あんな短い期間で指揮官を育て上げ、全艦隊を預けるなんてどうかしてますw
他にもツッコミたいところはありますが、決して悪い作品では無いと思います。
なので☆は三つ。
深く突っ込まなければ面白い
子供を戦争に投入する動機付けが弱い。戦術に長けるという理由なら、もっと才能を見せないと説得力に欠ける。
無理せず、なんとかに適合出来るのは何歳までとか設定で誤魔化せば良かったのに。
最後に実はゲームではなく実践だと種明かしされるまでは、この疑問は表に出ない。だから疑問に思う前に映画が終わっちゃう人も多いかも。
アムロやシンジに影響を与えたのか?それとも…
とても面白く、深い映画だと思った。
主人公は少年であり、ある種のニュータイプ。敵との戦いには必ず勝ち、しかし戦うことに苦悩が見られる。これはまさにアムロや碇シンジとの共通点があるように感じたのは
大げさか?
原作未読だが、このストーリーが後のガンダムやエヴァンゲリオンに影響を与えたのか?
それとも最後の惑星を破壊する描写はヤシマ作戦にそっくりということも含め、これらの日本アニメがこの映画そのものに影響を与えたのではないのか?
勝つことが目的ではなく、勝つ方法が大事だったというセリフは、戦わずして対話を
深め、相手を理解することでお互いに歩みよろうとする主人公の本当の思いを意味し、さらに現代の複雑な国家間抗争のへの忠告とも
とれるとても印象に残ったセリフだった!
ただ戦うだけのSFではなく、戦う意味をも考えさせる良質かつ興奮できる名作といえる。
訓練のシーンが面白い
全然期待していなかったので、意外に楽しめた♪
訓練の様子がおもしろかったな♪
それと、主役の男の子に周りが傾倒していく様が興味深かった☆
コストパフォーマンスの高い力作
原作は未読。
潤沢ではない製作費(1100万ドル?)の割には、出演者の顔ぶれと言い、SFX(VFX)の質と言い、非常にコストパフォーマンスが高い印象の映画だった。
原作はヒューゴー賞とネビュラ賞というSFとしては最高の評価を得ているので、おそらくもっと枝葉の多く深い内容を持っていると思うが、この映画もそのエッセンスは十分表現し得ているのではないだろうか。とにかく多少駆け足気味ではあったが、2時間弱の中にきちんとした物語世界が描かれ、完成度の高い作品だった。
フォーミックという昆虫型異星人の侵略を受け、何とか撃退したものの戦争状態にある地球。産児制限で子供は二人までとされている中、戦闘能力には秀でているが独尊的で暴力的なあまり指揮官としての人望がない兄と、優しさと博愛精神(他者との共感性)が強く戦闘には不向きな姉の、両方の因子を兼ね備えた第三子として特別に出生を許されたエンダー。この映画はそんなエンダーの戦士としての成長を描くと共に、指揮官の在り方も描いている。
ただ部下を怒鳴りつけるだけでなく、各メンバーの意見を聞きながら各々の個性を見抜き、それに応じた役割を与え作戦を完遂し、勝利の喜びを分かち合う。そんな冷徹さと共感性を併せ持った指揮官でなければ、配下の兵士も命を預ける気にはならないだろう。この作品世界の戦闘は主として遠隔操作の無人兵器によるが、それでも輸送船や前線で兵器を操作するための人員は必要で、彼らは戦死するリスクを負っているのだ。
実戦ではなく最終試験(ゲーム)と思わされたエンダーは、途中対話を求めるかのごとくのフォーミックの動きに困惑しながらも、上官に命じられるまま(バトルエリアでの対抗戦のように)味方の兵力を防御壁に使いながら最終兵器を温存し、敵の殲滅に成功する。しかしそれがゲームではなく実践であり、戦いの過程で多くの人命が失われたと知った時、エンダーは怒り悲しみそして悔やむ。あの時フォーミックとの対話を試みていれば、敵も味方も死なせずに済んだかもしれないのに、なぜ自分はそれができなかったのか・・・。
戦いを終わらせるためには、①敵を殲滅する、②敵対関係をなくす=友好関係を結ぶ の手段があるが、軍人である限り②の選択は無理であろう。軍人として不本意ながら①を実行した(させられた)エンダーは、軍を離れ自らの心の命ずるまま②の途を探ることになる。
ラストで新たな女王となる蛹(前線基地のある惑星を奪還した時、当然敵の残党を掃討した筈なのに、なぜ女王と蛹が発見されなかったかの説明がなかったが、それが話を紡ぐためには必要だったのだから、地球軍の眼が節穴だったか女王がうまく隠したと思うしかないだろう)を載せてエンダーは宇宙へ旅立つ。「両種族の対立を終わらせ平和を導く者」としての新たな使命を全うするために・・・。
救いのあるラストで心地よく観終わることができてよかった。原作にはまだまだ続編があるようだが、映画に関してはこの一作で十分だと思う。
良かった!(ネタバレというほどじゃないけど一応)
なかなか面白かったです!
展開はかなり早いけど、まぁまぁすんなり話は理解できました。ツッコミどころもちょいちょいありましたけどね( ̄▽ ̄)
感想としてはラストとかよく周りが許可したよなぁとか、軍曹との関わりをもっと描いて欲しかったなぁとか、エンダー結構強気やなぁとか、ペトラの存在もシスコン過ぎてちょっと霞んじゃったなぁ、とか…
まぁ、原作知らないんでなんとも言えないところはありますが。
良かったのはエンダーの心の葛藤(まあ、それももう少し掘り下げて欲しかったけど)と映像の迫力ですね(*^^*)
エンダーが指揮してるところなんか最高にカッコ良かったし、心理ゲームの映像も良かったです‼︎
やっぱりこういう壮大なスケールの映像の映画はいいですね( ^ω^ )
その仕事は終わらない。
タイトルに「ゲーム」と付いていることから、もうそれだけで
これはねぇ…と二の足を踏んでしまうと非常に勿体ない作品。
私も観るまでは全く食指が動かなかったが、知り合いの熱心な
薦めで観てみたところ、とても深く考えさせられる内容に驚いた。
SFというと、アカデミー賞にノミネートされているあの作品にも
あるように、とにかく映像の素晴らしさなどは強調されるけど、
十分なドラマ性を兼ね備えた作品となると、あまり多くはない。
かなり壮大な原作らしく(受賞歴を見ても)とても映像化はムリだと
踏んでいた原作ファンも、2時間でこれだけ纏めたのが凄いという。
謎の昆虫型生命体による地球侵攻で絶滅の危機にある人類は、
更なる侵攻に備えて優秀な子供を徴兵し、スクールで育成している。
産児制限が行われる中、第三子(サード)として特別許可のもとに
生まれたエンダーは、非凡な兄姉には叶わない自身の能力に悩み、
孤独な生活を続けていた。ある日、監督官(ハリソン)に見込まれて
バトルスクールへと送られたエンダーは、彼の指揮官としての能力を
見抜いた大佐により、シミュレーションで頭角を顕わしていくのだが…
なんでエンダー?なんて言う名前なのか、と思っていたらなるほど、
もうその為だけに生まれ育ったような使命を帯びた子供だったのね。
彼は毎晩おかしな夢を見る。正にゲームのようなその世界には必ず
昆虫?や姉?が登場し、状況が分からない彼をずっと悩ませ続ける。
後半でその夢の正体が解明される。と同時に、彼が帯びた使命とは
大佐から地球を守るように託された指揮であると同時に、宇宙平和
(つまり敵側への)を遂行しなければならない、もっと壮大な任務で
あったことを知らされる。生まれるべくしてこの世に生まれてきた子。
ということは、今作には宇宙戦争終結を祝うような従来のハリウッド
作品なんかよりもっと深い意味合いがあったわけだ。ははぁ~と頷く。
非常によく出来た物語である。と同時に、考えなければならないのは
(小説から長きを経ているのに)今現在の人間たちの方じゃないか、と
更なるメッセージを投げかけてくる。エンダーの仕事は終わってない。
見所はもちろんSFでのバトル、シミュレーションシーンが殆どだが、
その映像美を越えたところにメッセージがある。こんな作品は好きだ。
ところでこの主人公の男の子、なんか見たことがあるぞ…と思ったら
あー!ヒューゴの子だったのか!いや~。また大きくなって♪
(愛しさと切なさと心強さと~。って歌があったけど、全くその通りね)
ゲームオーバー(遊びはおしまい)
『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』の世界観にも影響を与えた
SF小説の映画化……とのことだが、アニメ関連にイマイチ疎い
自分としては、実力派子役とベテラン勢の入り交じるSF大作
として楽しみにしていた作品。
* * *
さて、『衝撃のラスト』と宣伝されていた本作。
SF戦争映画にも関わらず、宇宙人とのハデな戦闘はなく
演習シーンばかりだったが、僕は
①実は敵は宇宙人ではなく同じ人間だった
②実は主人公が現実だと思っていた空間もゲーム空間だった
③実は主人公はゲームと称して本当の戦争をさせられていた
④実はH・フォードは海老天好きの人造人間だった
といったイヤなオチを何パターンか予想してたせいか、
「もしかしてこのシーンは……」みたいなイヤな緊張感を
ずっと感じながら鑑賞していた。
オチ予想の一部は当たったが……
『皆殺しにした相手は、本当は対話を望んでいた』
という心底恐ろしい展開までは予想できず。
ぬうー、しんどい、こりゃしんどいよ。子どもになんつう事を
させたんすかハリソン&キングスレーじいさま。
* * *
イラク戦争の兵士、ムスリムの自爆テロ犯なんてのも
若者が多いと伝え聞く。『永遠の0』が記憶に新しい
特攻隊員も、やはり年端もいかない若者が多かったとか。
子どもはスポンジのように柔軟に知識を吸収する。
同時に、他人の痛みに対してまだ鈍感だ。
子どもに銃と環境を与えれば、学習は早く、相手を殺す理由に
疑問を抱かず、引き金を絞ることに躊躇しない優秀な兵士に
なり得る。
だが子どもは成長するにつれ、他人が自分と同じ痛みを
感じる事を、他人と痛みを共有する事を理解するものだ。
その過程の真っ只中に殺し合いへ放り込まれた子どもは、
自分の行為の残虐さにやがて気付いた時に、
一体どれほどの恐怖と後悔を抱くものなのだろう?
* * *
言うまでもなく、一番残虐なのはそんな彼らを利用する
大人たちだ。子どもを戦争に利用するやり方は
合理的・効率的であり、と同時に極めて非人間的。
この映画のH・フォードやB・キングスレーからも、
主人公への親愛の情のようなものは感じられない。
いかに彼を強力な『駒』に育成しようかという打算ばかりだ。
主人公やその他の子ども達が負うだろう心の傷も、
彼らには大きな目的の為の小さな犠牲に過ぎない。
戦争の指導者なんてどれもこれもそんなものなのだろうが、
彼らの思考こそが最もゲーム的だと感じる。
* * *
映画の原作は1977年初版だそうな。
70年代はコンピューターゲームの黎明期ではあるが、著者は
バーチャルリアリティで麻痺するモラル感覚みたいなものを
こんな頃から危惧していたんだろうか?
原作未読なので、どこまで原作通りなのかは知らないケド。
内容も面白いが、期待した通りキャスト陣も魅力的だった。
A・バターフィールドやA・ブレズリンを始め、
子役の演技は堅実……というか、チョイ役を含めても残らず
上手いし、ベテラン勢もバリバリの存在感で前述のような
エゲツナイ役を演じている。
* * *
ただ、少子化政策の中でエンダーが生まれた経緯や、エンダーと
凶暴な兄の確執とかはもうちょい掘り下げてほしかったかなあ。
その他サブキャラ達の描写がやや薄めなのも気になった点。
短い描写でそつなく説明されているとは思うのだけど。
また、SFチックなデザインの数々から古臭さは感じないが、
真新しさがあるとも言えない所が難と言えば難かなあ。
デザインにあともう一歩インパクトが欲しかったか。
* * *
そんな細かい不満はありつつも、
世界を全部しょいこんだような眼をしたエンダーの行く末に
固唾を呑み、一喜一憂しながら見守り続けた2時間。
微かな希望も残すラストも含め、ヒジョーに楽しめました。
これ、続編あるのかしら? あるなら是非とも観てみたい。
〈2013.01.27鑑賞〉
全25件中、1~20件目を表示