「その仕事は終わらない。」エンダーのゲーム ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
その仕事は終わらない。
タイトルに「ゲーム」と付いていることから、もうそれだけで
これはねぇ…と二の足を踏んでしまうと非常に勿体ない作品。
私も観るまでは全く食指が動かなかったが、知り合いの熱心な
薦めで観てみたところ、とても深く考えさせられる内容に驚いた。
SFというと、アカデミー賞にノミネートされているあの作品にも
あるように、とにかく映像の素晴らしさなどは強調されるけど、
十分なドラマ性を兼ね備えた作品となると、あまり多くはない。
かなり壮大な原作らしく(受賞歴を見ても)とても映像化はムリだと
踏んでいた原作ファンも、2時間でこれだけ纏めたのが凄いという。
謎の昆虫型生命体による地球侵攻で絶滅の危機にある人類は、
更なる侵攻に備えて優秀な子供を徴兵し、スクールで育成している。
産児制限が行われる中、第三子(サード)として特別許可のもとに
生まれたエンダーは、非凡な兄姉には叶わない自身の能力に悩み、
孤独な生活を続けていた。ある日、監督官(ハリソン)に見込まれて
バトルスクールへと送られたエンダーは、彼の指揮官としての能力を
見抜いた大佐により、シミュレーションで頭角を顕わしていくのだが…
なんでエンダー?なんて言う名前なのか、と思っていたらなるほど、
もうその為だけに生まれ育ったような使命を帯びた子供だったのね。
彼は毎晩おかしな夢を見る。正にゲームのようなその世界には必ず
昆虫?や姉?が登場し、状況が分からない彼をずっと悩ませ続ける。
後半でその夢の正体が解明される。と同時に、彼が帯びた使命とは
大佐から地球を守るように託された指揮であると同時に、宇宙平和
(つまり敵側への)を遂行しなければならない、もっと壮大な任務で
あったことを知らされる。生まれるべくしてこの世に生まれてきた子。
ということは、今作には宇宙戦争終結を祝うような従来のハリウッド
作品なんかよりもっと深い意味合いがあったわけだ。ははぁ~と頷く。
非常によく出来た物語である。と同時に、考えなければならないのは
(小説から長きを経ているのに)今現在の人間たちの方じゃないか、と
更なるメッセージを投げかけてくる。エンダーの仕事は終わってない。
見所はもちろんSFでのバトル、シミュレーションシーンが殆どだが、
その映像美を越えたところにメッセージがある。こんな作品は好きだ。
ところでこの主人公の男の子、なんか見たことがあるぞ…と思ったら
あー!ヒューゴの子だったのか!いや~。また大きくなって♪
(愛しさと切なさと心強さと~。って歌があったけど、全くその通りね)